「突き指するからノックはやめておけ」とはならない・金本知憲さん プロ野球のレジェンド「名球会」連続インタビュー(31)
21年間、食事とトレーニングと体の手入れ。この三つだけは本当に誰にも負けないぐらい頑張ったと自分でも思う。プロ入りから体重は12キロぐらいアップした。筋肉は全身につきました。特に下半身は気を使った。常に体重の倍のものを担いで何回も繰り返すとか、限界まで追い込むのが基本です。シーズンオフは180キロでフルスクワット10回。シーズン中は体重が減っていくので、担ぐ重さも落ちてきて160キロほど。体重90キロぐらいだったので、180キロはちょうど倍なんです。 筋力が一番強かったのは33~36歳。追い込むトレーニングを長くしている選手は少ない。その分、僕は限界のトレーニングを40歳ぐらいまで続けたからこそ長く現役を張れたのではないかと思う。膝の手術を2回して、その時はトレーニングができなくなった。太ももとか(筋肉が)がくっと落ちた。シーズンオフに本来、きっちり追い込んでいるはずなのに、全くそれができないわけですから。それでも1回目の手術の時(2007年)は貯金があるので、すぐに戻った。2年連続2回目の手術の時は、復帰が41歳の年齢では、かなりこたえました。
(阪神監督時代に若手選手を見て)彼らはそういうトレーニングしたことないので、やり方が分からない。だから、こっちがある程度メニューに組み込んで強制してやらせないと。セット数や目標値を決めるのも。トレーニングはみんなするんですけど、追い込むってあまりやりたがらない。きついですからね。他の楽な方に逃げますから。トレーニングでけがをするやつはグラウンドでもけがをしますよ。大体そうです。トレーニング中に肉離れ、骨折とか聞いたことがない。ぎっくりとか軽いのはあるけれど、それを気にしていたら何もできない。守備練習だって指を突く可能性がある。突き指するからノックはやめておけ、とはならない。 ▽記録はいつか止まるもの。何とも思わなかった (広島時代の1002打席連続無併殺打はプロ野球記録で)個人成績が下がる局面で、どれだけ一生懸命できるかという証明だと思う。ランナーが一塁にいて内野ゴロを打つと、全力で走ってセーフになれば、まだチャンスは残っているわけじゃないですか。やっぱり打率が下がるものだから走らない選手が多いんですよ。自分の成績が下がる場面でも全力で走ったというのを一番アピールしたかった。チームのためにやってきたと誇れる記録です。