「陸上人生で初…なんだコレ」青学大・原晋監督“じつは異常事態だった”3区、失速の原因は? それでも箱根駅伝で負けない異様さ…TV解説者の“発言”
失速の原因…じつは“腹痛”だった
鶴川本人がそう振り返るように、中間点を過ぎてもなかなか前との差を詰めることができない。前を行く東国大は早々にかわしたものの、追ってくる創価大のスティーブン・ムチーニ(2年)には抜かれ、タスキリレーの3位から順位を上げることができずにいた。 そうこうしているうちに、先頭の中大との差は、むしろ開いていった。 予想外の失速の原因は「陸上人生で初めて」という差し込みだった。 「10kmを過ぎてから(陸上)人生で初めてお腹が痛くなっちゃって。『何だコレ』って」 高校時代から全国高校駅伝のエース区間で区間賞を獲得するなど、全国トップクラスで活躍を続けてきた鶴川だったが、大学入学後は苦しんだ。度重なる故障に悩まされ、大学長距離界最大の晴れ舞台である箱根駅伝も、これまで一度も走ることができていなかった。 そんな中で、ようやく4年目にして満を持して迎えた、最初で最後の大舞台。 これまで一度もなかったはずの差し込み(腹痛)が、よりによってそんなタイミングで起こる――それこそが箱根駅伝という大舞台が持つ難しさなのかもしれない。 結果は、区間賞を獲った本間から1分35秒遅い区間4位だった。 レース後、鶴川は「力がない、弱い」と繰り返した。 「これまで3年間走れなかった箱根を走れはしたんですけど、自分の思い通りの結果はでなかったんで。まだまだ弱いなと。満足いく結果が出せなくて、力がないなという感じです」
それでも勝つ…青学大の“異様さ”
それでも青学大は4区の太田が区間賞の走りで悪い流れを断ち切ると、先頭を行く中大との差を1分40秒近くも詰めた。最後は5区を走った若林宏樹(4年)が区間新記録で45秒差を逆転し、芦ノ湖でのゴールで歓喜の瞬間を迎えることになった。 往路を終え、際立ったのは青学大の「底力」だ。 優勝候補の筆頭に挙げられながら1区で出遅れ、続くランナーの好走の後にエース級が想定外の結果に終わる。いわゆる「凸凹駅伝」になりかけ、前評判の高さからの重圧も相まって、普通ならそこからズルズルと順位を下げてもおかしくなかった。 だが、今年の青学大はそれでもなお、後続のランナーがその悪い流れを止め、なおかつ最後は先頭まで持っていくだけの力を見せた。「流れ」は決して良くはなかった。それでも揺るがぬ「実力」で勝ち切ってみせた。
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