真心ブラザーズ　撮影／有坂政晴

　『どか～ん』（1990年）や『サマーヌード』（1995年）、『拝啓、ジョン・レノン』（1996年）といった、色あせない名曲を送り出してきた2人組バンド、真心ブラザーズがデビュー35周年を迎える。2014年に自身のレーベル「Do Thing Recordings」を設立し、今夏も音楽フェスに参戦するなど、精力的に活動を続けているYO‐KINGさんと桜井秀俊さんに、真心ブラザーズにとっての「THE CHANGE」について語ってもらった。 ■【画像】真心ブラザーズ、夏の名曲『サマーヌード』をモチーフに制作された山下智久主演のドラマ「SUMMER NUDE」 　’89年、大学の先輩・後輩で急きょ結成された、真心ブラザーズ。テレビ番組『パラダイスGOGO!!』内の“勝ち抜きフォーク合戦”（1989・フジテレビ系）で勝ち抜き、幸運にもメジャーデビューを飾るが、しばらくはアマチュア気分が抜けなかったと振り返る。 桜井秀俊　「バラエティ番組の企画で10週勝ち抜くと、ご褒美みたいな感じでレコードを作ってデビューしようという話になりました。僕は当時、レコード会社と、芸能事務所の違いも分からないド素人（笑）。アマチュア気分のままテレビにも出ていましたね」 YO‐KING 　「そうだよね。少なくともCD出してデビューしても、はじめのころはプロという意識は持ってなかったんじゃないかな」 桜井秀俊　「自分の中で、はっきりと意識が変わったのは、’95年です。5月にアルバム『KING OF ROCK』を出し、6月にシングル『サマーヌード』を出しました。20代も後半に差し掛かり、“これだけ真心を続けてきちゃうと、そのあとにレコード会社への就職は難しそうだな”って思うようになってましたね」 YO‐KING 　「あの頃は、バンドでデビューした後に、レコード会社のディレクターとかに就職している人たちも結構いたんですよ」

真心ブラザーズを続けていく覚悟が決まってできた、夏の名曲『サマーヌード』

桜井秀俊　「自分もそのパターンだろうなと思っていたら、真心が意外と長続きしてしまって（笑）。“こうなると、レコード会社も雇いにくいだろうな”と思ったし、自分の中で真心を続ける覚悟ができたんでしょうね。そうじゃなければ、あのアルバムや、『サマーヌード』はやっぱり作れなかったと思う」 YO‐KING 　「はじめのうちは、やり逃げする気持ちでそれを面白がっていたけど、それを続けていくと自分たちがだんだんつまらなくなっていったというか。なにより、聴いてくれる人に失礼だと思ったんですよ」 桜井秀俊　「そうです。自分自身の表現や言葉を、真心ブラザーズというものを通じて社会とやり取りするんだと。肝が据わったのが、そのころでした。実際、真剣に取り組んだアルバム『KING OF ROCK』は、レコード会社の皆さんやミュージシャン仲間からの反応がそれまでとは全然違いました。たくさんの方から、いいねって言ってもらえたんです。そうやって僕らの根っこである、ロックやファンク、フォークをストレートに鳴らしたアルバムのすぐ後に、夏のハッピーなラブソング『サマーヌード』を出したのもよかったんだと思います」 YO‐KING　「振れ幅の大きさに多くの人たちが驚いただろうし、楽曲の完成度の高さにもびっくりしてくれたと感じました。今までにないほどたくさんの人に喜んでもらえたのは、まぎれもなく真心ブラザーズにとっての“THE CHANGE”でしょうね」 真心ブラザーズ 1989 年、 大学在学中、音楽サークルの先輩であるYO‐KING（1967年7月14日生まれ、東京都出身）と後輩の桜井秀俊（1968年6月6日生まれ、広島県生まれ神奈川県育ち）で結成。バラエティ番組『パラダイスGOGO!!』内の“勝ち抜きフォーク合戦”（1989年・フジテレビ系） で10週連続を勝ち抜き、同年9 月にシングル『うみ』でデビュー。’90年の『どか～ん』がヒットとなり、人気アーティストの仲間入りを果たす。同年発売の『サマーヌード』は当時にヒットしただけでなく、’13年に放送された山下智久主演のドラマ『SUMMER NUDE』（フジテレビ系）では本楽曲をモチーフとして制作されるなど、夏の定番人気曲となっている。コンスタントに作品を発表し、ライブツアーを重ねている。’24年11月4日の神奈川県「SUPERNOVA KAWASAKI」を皮切りに、新アルバムを携えた全国ライブ・ツアー『SQUEEZE and RELEASE』を開催する。 キツカワユウコ