【大学トレンド】注目集まる「宇宙ベンチャー」 手のひらサイズの衛星エンジン、宇宙で美容整形…
柔軟な発想が、新たな宇宙ビジネスに
理学部物理学科3年の中村天則(たかのり)さんは、小さい頃から宇宙が大好きでした。 「小学校時代から、JAXAの相模原キャンパスにもよく見学に行っていました。宇宙利用論の開講を知ったときは、僕のための授業じゃないかと思ってびっくりしたほど(笑)。すぐに受講を決めました」 ある日の授業で、「新たな『宇宙×◯◯』を考える」課題が出たときのことです。中村さんのグループは理学部の学生が集まっており、そこでは「ありきたりなアイデアしか出なかった」といいます。 「理系の僕らが集まると、どうしても『どんな実験をするか』という意見ばかりになってしまったのですが、文学部の女子学生による『宇宙×美容整形』というアイデアには本当に驚かされました。微小重力下では、美容整形をしてから回復するまでのダウンタイムが少ないのではないか。そんな提案でしたが、僕らには思いもよらない発想でした」 文系の学生との交流を経て、「ほかの人の発想が面白くて、文理の区別自体がナンセンスだと思うようになりました」と語る中村さん。渡邉教授は、学生のこうした体験が大切だと言います。 「これまでの日本は技術を高めるだけで、その技術をどう役に立てるかを考えてきませんでした。その結果、iPhoneなどのように、『こんな発想をプラスしたら楽しいよ』ということを示した海外製品に負けてしまったのです。今後は文理の枠を超えた発想で、楽しくて役に立つ新たな宇宙ビジネスベンチャーを創設する。これが『宇宙利用論』の授業の最大の目標です」
朝日新聞Thinkキャンパス