オープンカーで453.91キロを達成! ブガッティ「W16ミストラル ワールドレコードカー」以外の世界最速記録を打ち立てた3台とは?
新たな可能性の世界を切り開く
こうした最高速度記録は、クローズドコクピットの車両だけのものではなかった。 妥協のない発明という理念に忠実に、2013年、ブガッティは卓越したエンジニアリングの専門知識をオープンカーに注ぎ込んだ。それがヴェイロン スーパースポーツのプラットフォームをベースに開発されたヴェイロン 16.4 グランスポーツ ヴィテッセ ワールドレコードエディションである。そして中国の起業家であり、熱心なレーシングドライバーでもあるアンソニー・リウ氏が、この息をのむようなマシンを、伝説の地であるドイツ・エラ・レッシエンに持ち込むことになった。 屋外でのパフォーマンスには、巨大な物理的力が作用するため、それを制御するため入念に設計されたデザインが必要とされた。コクピットは風雨にさらされるため、最高のねじれ剛性を実現する強化カーボンモノコックで作られ、特注のルーフスポイラーと複雑に設計された防風板により、高速走行時の空気の流れが最適に管理されるようにした。 モルスハイムのエンジニアたちの情熱と献身の結晶が、エラ・レッシエンで実を結んだ。アンソニーが408.84 km/hを記録し、このブランドの新たな世界記録を樹立したのだ。これによりオープンコクピットで課題となる自動車工学の領域が克服され、8台のワールドレコードエディションが製造された。ブラックとオレンジのツートーンカラーの塗装は、ブガッティの世界記録モデルを象徴している。
最高速度を究極の高みへ
世界記録を次々と塗り替えるという比類なき歴史を築いてきたブガッティは、2019年夏、自動車の性能を不可能と見なされていたレベルにまで引き上げるという偉業を成し遂げた。 シロン スーパースポーツ 300+は、ホイールからすべてにおいて、その偉業を実現するために徹底的に設計されたマシンである。強化された熱管理システムを備えた8L W18+4ターボエンジンからは、1600psを発生する最高傑作である。このモデル専用に設計された「ロングテール」ボディワークは、より優れた空力効率を確保し、空力失速を40%も減少させた。 完璧なまでに設計され、人類の努力の概念を再定義する準備が整ったこのクルマは、ブガッティの公式ドライバーであるアンディ・ウォレスの手によって、再び自動車業界を驚かせた。量産車として史上初めて時速300マイル(約480km/h)の壁を破り、公式に時速490.484km/hという驚異的な記録を樹立したのだ。 30台のシロン スーパースポーツ300+エディションは、自動車史に永遠に名を残すこのクルマの伝説を確固たるものにした。 ジェットブラックの露出カーボンファイバー仕上げに、車体全体に2本のジェットオレンジのレーシングストライプが施されたこのクルマは、世界記録車のスピリットを受け継ぎ、ブガッティの革新の新たな10年を迎える。
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