【闘病】看護師が「乳がん」になって初めてわかった"患者さんの大変さ"
自分に優しくないと人には優しく出来ない
編集部:病気の前後で変化したことを教えてください。 はづきさん:仕事柄、病気になる前は「自己犠牲ありき」が当たり前でした。ちょうどがんが見つかる前、更年期症状がひどくて身体的にはかなりしんどかったのですが、仕事を休むなんてありえませんでした。 一方で、乳がんがわかって周りに伝えると「身体大丈夫なん?」と心配され、症状は何もないのに、がんが見つかったというだけで「病人」になっている私がいました。変ですよね。 周りは看護師なので「更年期症状の辛さ」も「乳がんのほとんどは無症状」という知識もあるはずなのに、「これがアンコンシャスバイアス(無意識の思い込み)ってやつか」「結構傷つくな」と思いました。 編集部:確かに、奇妙ですね。 はづきさん:がん治療のためにお休みをもらい、自分の事だけを気にかけて生活していたら、つらかった更年期症状がほとんどなくなりました。「無理してたんだな……」とつくづく感じて、自分に優しくないと人には優しく出来ないなと改めて実感しました。 編集部:今までを振り返ってみて、後悔していることなどありますか? はづきさん:病気について後悔していることはありません。ゆっくり休ませてもらって、治療に専念し、自分を甘やかす事ができたので満足しています。 後悔と言うなら「あんなに頑張って仕事しなくてよかったのにな」とは思います。過去の自分に「もっと自分のことを大事に。自分を甘やかしていいんだよ」と言ってあげたいです。 編集部:現在の体調や生活はどうですか? はづきさん:今はホルモン剤の影響なのか左肩が痛くて腕が上がらないのと、所々関節が痛いです。体力が落ちているので、なるべく歩くように心がけているのと、家でトランポリンをしています。 来月(取材時)には職場復職しようと思っており、なるべく体力をつけないといけないのでぼちぼちがんばっています。 編集部:医療機関や医療従事者に望むことはありますか? はづきさん:通っていた病院のスタッフはとてもやさしく、「ちょっと待って」がほとんどない病院でした。患者はちょっとしたことでも、気になってしまいます。 診察ではやさしく接してほしいのはもちろんですが、こちらから言い出せないこともあるので、帰る前などに「気になることはありませんか?」とか聞いてくれると嬉しいですね。 編集部:最後に、読者に向けてのメッセージをお願いします。 はづきさん:日々の生活の中で、知らず知らずに無理してることが沢山あると思います。時には自分に向き合う時間を作って、「今の自分は我慢してない?」と問うてみるようにしてほしいです。 あとは、治療に関して、今はさまざまな情報があるので惑わされないようにしてください。正しい情報を得られる場所から得た情報に基づいて、主治医と相談して決めてほしいです。 また、様々な闘病体験談などに書いてあることは、同じ病名だったとしてもあくまで別の人のことです。 自分と必ずしも同じではないということを忘れず、とくに余計な不安は持たないでほしいですね。治療中はメンタルの持ちようも本当に大事ですので、まずはしっかりと自分と向き合ってください。