《記者コラム》官民挙げてブラジル急接近の韓国=K-POPスターを前面に出して
ブラジルつながり設定がやけに目立つKドラマも
Netflixで韓国ドラマ『イ・ドゥナ!』を見ていて、女性主人公にその恋敵を含めて主要な女性登場人物3人が、なんとブラジル関係であるという設定に驚いた。 『愛の不時着』のイ・ジョンヒョ監督が、韓国で〝国民の初恋〟と呼ばれるアイドル出身のトップ若手女優ペ・スジを主演に迎えて、韓国のネット漫画を実写化したドラマだ。上京したての平凡な大学生ウォンジュンが、人気絶頂の中、突如引退したアイドルのイ・ドゥナとシェアハウスで共同生活をすることになるという、アイドルと一般人の恋愛を描いた胸キュン青春ロマンスだ。 そんな話題作の中で、ブラジル要素が散りばめられている点に、韓国からの接近度合いの本気さを感じた。なかでもウォンジュンの幼なじみのチェ・イラが、幼い時にブラジルに家族で移住してポ語が堪能という設定が特に興味深い。 チェ・イラはブラジルからソウルの大学に留学し、その際、なぜかブラジル人の彼氏ドス・サントスも連れて行って裏切られ、学内で彼氏をポ語でののしるシーンがある。「登場人物がブラジル育ちで彼氏もブラジル人」という設定は現地から見て親近感を抱かせる。 今年初め、コラム子が住むリベルダーデ区にある行きつけの韓国人のおばさん経営のスタンドショップに顔を出したら、知らない若い韓国人女性が店番をしていたので、おばさんのことを聞くと「店を私に売ってソウルに引き上げたわ」と言われ、驚いた。今も、韓国とブラジルでは移民の行き来が頻繁であり、その現実がドラマの一場面に反映されていると感じた。 チェ・イラの実家は、ブラジル地方部にある大きな一軒家だ。そこに、ウォンジュンの高校時代の恋人キム・ジンジュが傷心旅行、もしくは留学のような形で訪ね、ブラジル人と交流する様子をスマートフォンの写真で見せびらかすシーンもある。 アイドルとしてのドゥナがブラジル公演をしたというシーンもあり、実際にKpopグループが続々とブラジルに来ている現実と重ね合わせるとリアル感が増す。 実際、今年前半だけ見ても韓国ガールズグループ「TWICE」が2月6日にサンパウロ市のアリアンツ・パルケで2回公演、3月には2020年にデュービューしたボーイズグループ「2Z」(トゥジ)がクリチーバ、サンパウロ、リオ、ベロオリゾンテで公演。韓国の第4世代ガールズグループブームを牽引する一つ「IVE」(アイブ)も6月26日にサンパウロ市エスパッソ・ウニメジで公演する予定だ。 めったに来ない日本のアイドルグループとは違って、K-POPグループは年に4、5度も見る機会がある。また日本のドラマで、主人公や準主人公クラスが軒並みブラジルがらみの設定ということは、ありえないのではないか。 そもそもブラジルのNetflixを見ていて日本のドラマより韓国の方が桁外れに多い。それだけ、韓国は官民挙げてブラジルをターゲットにしている。