「歴史的で画期的な違憲判決」同性婚訴訟、東京高裁の判断を弁護団は高く評価 その5つのポイントは?
●男女間と同性間の「区別」に合理的根拠は?
4つ目のポイントは、こうした男女間と同性間のカップルにある「区別」の合理的根拠の検討だ。 「先ほども述べた通り、自然生殖可能性は婚姻の不可欠な目的ではなく、法的な利益は同性カップルにとっても重要なことだとしました。しかも、同性カップルに婚姻という法的保護を与えたとしても、そのことが男女間に与えられている法的保護になんら影響を与えないとしました。 それに加えて、異性カップルも連れ子や養子など自然生殖による子どもだけを育てているわけではなく、さまざまなパターンがあり、同性カップルも実際にそうして子育てしているケースがあるとしました」 さらに、判決では国連理事会や自由権規約委員会が同性婚について法改正を求める勧告を出していることや、自治体で広がっている同性パートナーシップ制度についても触れている。 「判決では、同性間の関係に社会的公認を受けたいという要請と、それを受け止めるべきであるという認識が広がっていることを示しています。世論調査でも同性婚に賛成する割合が増えており、社会的需要は相当程度高まっているという認識を示しました。 こうした理由から、男女間と同性間のカップルに生じている区別は、現在も維持することに合理的根拠があるとは言えないと断じています」
●同性婚を実現するなら…国会に「注文」
最後のポイントは、同性婚を認めていない規定が違憲だとして、同性カップルが配偶者としての法的身分の形成にかかる規定をどう設けるのか、具体的に踏み込んだ点となる。 「その方法として、今の民法や戸籍法の規定を改正して同性カップルを包摂するという方法もありますし、婚姻とは別制度をつくる方法もあるとしています。 ただし、判決では、国会が立法する際には個人の尊重(憲法13条)や法の下の平等(憲法14条)という憲法上の要請があり、その裁量には限界があるということも言っています。例えば、配偶者の法定相続権があるけれども、婚姻当事者の性別にはかかわらない。配偶者の地位によって当然に生じる権利で、そうした権利について、男女間と同性間を違う内容にするには、違憲の問題が生じるとしています。 これは、国会の立法にかなり具体的な注文をつけているもので、同性カップルに配偶者としての法的身分関係の形成にかかる規定を設けていないということは、性的指向による差別であって、憲法14条1項や24条2項に違反するということを言っています」