「激しいかゆみ、発熱も」「17万6000円でも依頼急増」…。日本で被害急増のトコジラミ、駆除のプロが証言する“本当の怖さ”とは?
なお、トコジラミ駆除を業者に依頼すると、家具や布団、衣類をすべて捨てることを提案されるケースも少なくない。だが濱田さんは、「もちろんケースバイケースですが、ダスキンでは、大体の場合は捨てなくても冷却や薬剤処理で駆除します」という。 それを可能としているのは、徹底した安全性への配慮だ。ダスキンが使用する薬剤は、厚生労働省に認可された有機リン系のもの。一般的には人体への影響も心配される薬剤だが、ダスキンでは、マイクロカプセルに包まれたタイプを使用する。これなら万一人の口に入っても、マイクロカプセルのまま排泄される可能性が高いという。
さらに、念には念を入れて、駆除効果の確実性を高めるシステムもある。トコジラミ駆除サービスは通常30日契約で、駆除後、ゴキブリホイホイのようなトラップをしかけて7~10日後に点検がなされる。その後さらに約10日後、もう1回点検。本当にトコジラミがゼロになるまで、二重三重にチェックが行われているのだ。「1回めの処理でほぼ駆除できるのですが、もしもの生き残りが出ないように、完全駆除の確実性を高めています」(山中さん)。
トコジラミを「外に持ち出さない」対策も万全だ。駆除作業の際は不織布の白いつなぎを装着し、終わったら脱いですぐに廃棄する。足元はトコジラミが登ってこれないよう、ビニールのシューズカバーでガード。これも作業終了後に廃棄する。さらに頭にはフードを被った“完全防備”の体制だ。 一方で、各店舗で同品質のサービスを提供するために社内ライセンスも設けられている。害虫駆除サービスを行う店舗は、サービス開始前に害虫駆除全般に対する研修を受け、ライセンスをとらなければならない。そこにプラスして、トコジラミ駆除をメニューに加えるためには、トコジラミの生態や駆除方法をeラーニングで学び、テストに合格して、専用ライセンスを取得しなければならないのだ。
ちなみに、ここ数年は需要が増えているため、ライセンスの取得者は、毎年10%ずつ増えている状況なのだとか。 ■トコジラミを持ち帰らないための対策法 話を聞けば聞くほど、「トコジラミが家に来たらどうしよう」という恐怖感が高まってきた。トコジラミは湿気の多い日本だとどの地域でも生息しやすいそうだが、なかでも旅行者の多い都市圏に集中しやすく、東京、神奈川、大阪などに多いそうだ。筆者の自宅は大阪である。トコジラミを連れて帰らない方法はあるのだろうか。