「激しいかゆみ、発熱も」「17万6000円でも依頼急増」…。日本で被害急増のトコジラミ、駆除のプロが証言する“本当の怖さ”とは?
これは虫全般に言えることだが、同系統の殺虫剤を使い続けることにより、生き残る害虫が出てくる。それらの虫が繁殖することで、殺虫剤に耐性を持つ虫が増えるというわけだ。現在日本にいる「スーパートコジラミ」は、日本で生まれたのではない。海外で薬剤に打ち勝った種が、インバウンドにくっついて日本に入って来ているのだ。 「飛行機で世界中を飛び回れる時代、害虫は日本だけでなく、海外の事情も大きく影響するようになっています」とターミニックス事業部 事業企画運営室の山中 大さんは言う。
ダスキンへの駆除依頼主は、海外旅行や海外出張帰りの人が多いそうだが、ときどき、心あたりがまったくないという人もいるそうだ。それはつまり、日本のどこかからトコジラミを持ち込んでいるということにほかならない。 ここまで読んで、「そう言えば最近かゆみが……」と不安になった読者の方もいるかもしれない。トコジラミを見つける方法はあるのだろうか。山中さんは、「柱とふすまのさんの隙間や壁の角など、ベッドの隅に黒ずみがあったらよく見てみてください。トコジラミは夜行性のため、暗くて狭いところを好みます。もしそのような場所に黒い粒や黒いシミのようなものがあったら、トコジラミが血を吸った後の『血糞』の可能性があります」と説明する。
ただ、この血糞を見つけたり、万一成虫を見たとしたら、その時点でかなり増えた状態になっていることが多い。時すでに遅かりし、だ。また、数が少ないからといって安心ということでもない。トコジラミは1日5個卵を産むと言われており、気づかぬうちに増えてしまうからだ。 では、気づいたらどう対処したらいいのか。市販の殺虫剤スプレーなどを見ると、一応対象虫としてトコジラミの記載はある。だが、それだけで撲滅するのはかなり難しいそうだ。「生息場所にきっちりと噴霧できれば効果はあるかもしれません。ただ、生息場所すべてをみつけるのは、一般の方では難しいと思います。また、卵はスプレーでは死にません」とターミニックス事業部 サービス開発室の濱田 剛志さん。煙を充満させる燻煙剤タイプでも、隅々に隠れているトコジラミまでは駆除しきれない。