「日本のユーザーにはとても感謝している」 M5Stack TechnologyのジミーCEOが語る今と今後、そして「MSX0」との向き合い方
M5Stack Technology(以下、M5Stack)は、M5StackやM5Stampといったコンパクトなマイコンモジュールを製造/販売している中国深センのスタートアップ企業だ。M5Stackの製品は、日本のMakerと呼ばれるもの作りを趣味とする人たちに広く受け入れられ、「Maker Faire Tokyo」などでは同社の製品を使った作品が多数出展されている。 【写真】開発中の「Tab5」試作機がいち早く公開されていた 同社CEOであるジミー・ライ(Jimmy Lai)氏も、日本のM5Stackユーザーを大切にしており、Maker Faire Tokyo/Kyotoに出展するためにチームで来日し、M5Stackユーザーミートアップにも参加している。 ジミー氏は、Maker Faire Tokyo 2024前日の9月20日にアスキー創業者でMSXの生みの親でもある西和彦氏と、現在西氏が進めている第3世代MSXの1つである「MSX0」における協業についてミーティングを行った。今回、そのミーティング後にジミー氏と直接インタビューする機会を西氏に設定してもらったので、その内容を紹介したい。 なお、ジミー氏との会話は、M5Stackのプロジェクトマネージャーである村谷英昭氏に通訳をお願いした。また、インタビューにはM5Stackとの関係が深いスイッチサイエンスの国際事業開発担当 高須正和氏も同席しており、高須氏にも背景説明などのコメントをいただいた。 M5Stackのジミー氏とは、2023年にもインタビューを行っている。M5Stackの創業経緯やもの作りのスピード感などについては、こちらを読んでみてほしい。
「Maker Faire Tokyo 2024」の展示の目玉は「Tab5」
―― 今回、「Maker Faire Tokyo 2024」と「M5Stackユーザーミートアップ」、西和彦氏とのミーティングのために来日されたということですが、Maker Faire Tokyo 2024のM5Stackのブースの目玉は何でしょうか? ジミー 明日と明後日(9月21日と22日)に開催されるMaker Faireで展示する商品はたくさんあります。まず、Espressif Systemsの新しいプロセッサ「ESP32-P4」を搭載した5型のタブレット「Tab5」が目玉商品です。 Tab5は「MSX0」も対応する方向で、MSX0用キーボードも開発する予定です。また、Chain Puzzleという10×10のとても小さいLEDのモジュールで、1列とか正方形/長方形みたいに数珠つなぎできるような小さいガジェットを考えていて、Maker Faire Tokyoやユーザーミートアップで、M5Stackユーザーのみなさんに配布するものを用意しています。 それから、日本ではあまり使われていませんが、ヨーロッパではLoRa(Long Range)という低消費電力通信が盛んなので、LoRaを使った開発中の応用製品も展示する予定です。 ―― LoRaは、LPWA(Low Power Wide Area/低消費電力かつ広域・長距離通信を特徴とする無線通信技術)の規格の1つですよね。 ジミー 日本だとLTEの方が多いみたいですが、ヨーロッパはそれと同じぐらいの割合でLoRaが多く使われているようです。 ―― 以前ジミーさんにお話を伺った際、x86搭載製品とかLinuxが動くとか、ESP32ではなく、もっと高性能なプロセッサを使った製品をやりたいみたいなことを言われていましたが、その辺りはいかがでしょうか? ジミー 今後、展開の可能性はいろいろあると思いますが、そこまで一気に手を広げられないので、まずは取っ掛かりとして、Tab5やESP32-P4に取り組んでいます。 私の趣味的な希望としてはx86をやってみたいというのはありますが(笑)、それを作って実際に市場に受け入れられるかどうかという大きな課題があります。現状は、まだ具体的に製品を出すという段階ではありません。