「日本のユーザーにはとても感謝している」 M5Stack TechnologyのジミーCEOが語る今と今後、そして「MSX0」との向き合い方
Espressifによる買収はありがたいこと さらに製品開発を加速する
―― この4月に、Espressif SystemsがM5Stackの過半数の株式を取得(買い増し)し、M5Stackを子会社化しましたが、それによって何か変わったことはありますか? ジミー 私は他の会社のCEOとは違って、日々の半分以上をCTO的な立場で動いており、できれば開発以外のところはやりたくないんです。できるだけ開発に専念して、良い商品を作りたいというのが第1希望です。しかし、これまではCEOという役職で、部品を購買したり、人材管理をしたりといった仕事をする必要があったので、社員が増える度にその負担も大きくなっていました。 そういった意味で、Espressif Systemsに買収されたことによって、人材管理や購買関係などの一部を親会社の方に権限移譲できました。その部分に関しては、エンジニアとしての立場からはとてもラッキーでした。 ただし買収されたことで、親会社に対して業績報告などの責任は発生するため、そのプレッシャーに関しては良くない部分はありますけれど、それを超えるメリットがあると感じています。 ―― M5Stackは新製品開発のペースがとても速いことが特徴ですが、そういった企業文化は買収されても変わらないと考えていいのでしょうか。 ジミー それは変わらず私が担当していますし、私が開発に関わる割合が増えたので、変わらないと思います。 ―― 可能性としては、もっと開発が早くなることもあるかと思いますが、エンジニアリングにもっと力を割けるようになったわけですよね。 ジミー はい。私は製品の“種”をたくさん持っていて、それがどんどん湧いてきます。その開発が進めやすくなるというのがいい点ですね。 高須 実際、年単位とか半年単位ぐらいで見ても、毎週金曜に新製品開発会議をするというペースは変わっていませんが、1つ1つの製品に注がれる開発パワーみたいなものは増えていると思います。 最近のM5Stackは、開発に手間がかかる製品が結構増えてきています。シンプルに他で売っているセンサーをM5Stackのケースに入れてサンプルコードを付けて出すみたいな製品は手間がかかりませんが、今度のTab5みたいに、大きなタッチパネルを初めて使うように、これまで使ったことがない部品をたくさん使う、新しいプロセッサも使うとか、後はドローンみたいに新しい製品をまるごとM5Stackで作るとか、ダイヤルもそうですが、最近の製品は開発パワーが増えている感じはします。