宿泊施設の約46%が“迷惑客の対応”に苦慮した経験アリ…12月13日から変更となる「旅館業法」のポイントを解説
◆宿泊者、従業員ともに気持ちよく過ごせる宿泊施設に
続いて、2つ目の改正ポイントである「感染症防止対策の充実」について、竹中さんは「危険性の高い感染症を特定感染症として、その特定感染症が国内で発生している期間に限り、ホテルや旅館は宿泊者に対して、その症状があるかどうかなどに応じて、感染防止に必要な協力を求めることができるようになります。また、宿泊者は、正当な理由がない限り、その協力の求めに応じなければなりません」と解説します。 新型コロナウイルス感染症が流行していた時期、ホテルや旅館は、宿泊客に対して感染拡大防止のために「体温の確認」や「マスクの着用」などを依頼しましたが、それに応じてもらえず対応に困ったケースもありました。これまでの旅館業法では、宿泊客に対して感染防止対策への実効的な協力を求めることができませんでした。 そこで、改正後の旅館業法では、「特定感染症の感染防止に必要な協力を求めることができること」また「宿泊者は正当な理由がない限り、その協力の求めに応じなければならないこと」が明記されました。 上記の“特定感染症”とは、感染症法という法律により、感染力や症状の重さなどに応じて1類から5類まで分類されているなかで、エボラ出血熱などの1類、SARSなどの2類に加え、新型インフルエンザなどの感染症や新しい感染症、および指定感染症などを指します。 このほかにも、「宿泊者名簿の記載事項について、“職業”の欄が削除され“連絡先”が追加されます」と竹中さん。ホテルや旅館から請求があった際、宿泊者は氏名、住所に加えて、連絡先も告げなければなりません。これにより、感染防止対策の観点から、宿泊者が特定感染症の患者やその関係者であった場合などに、必要に応じて連絡が取れるようになります。 改めて竹中さんは、「宿泊する方も、ホテルや旅館などの従業員の方も、皆さんが気持ちよく過ごせる宿泊施設になるよう、ご協力をお願いします」と呼びかけました。