サインツJr.優勝でフェラーリがランキング2番手浮上。フェルスタッペン20秒ペナと大荒れ。角田裕毅リタイア|F1メキシコシティGP決勝
F1第20戦メキシコシティGPを制したのはフェラーリのカルロス・サインツJr.だった。RBの角田裕毅は無念の1周目リタイアとなった。 【リザルト】F1 2024 メキシコシティGP決勝 前戦アメリカGPから始まったF1アメリカ大陸ラウンド。その2戦目となるメキシコシティGPの舞台は標高2200m超えの高地に位置するエルマノス・ロドリゲス・サーキットであり、各チームとも空気の薄いコンディションに合わせたマシンパッケージを持ち込んだ。 予選ではアメリカGPから好調さを見せるフェラーリのカルロス・サインツJr.がポールポジションを獲得。レッドブルのマックス・フェルスタッペンが2番手、マクラーレンのランド・ノリスが3番手からのスタートとなった。 角田は予選Q2でクラッシュがあったものの、マシンを修復して11番グリッドに並んだ。母国戦となったレッドブルのセルジオ・ペレスは18番手、マクラーレンのオスカー・ピアストリは17番手と後方スタートになった。なお、アルピーヌのエステバン・オコンがピットからの出走を選んだ。 スタートタイヤはサインツJr.から角田までのトップ11までがミディアムを選択。12番手スタートのRBのリアム・ローソン以下はハードタイヤを選ぶドライバーも多かった。 71周のレースが幕を開けると、フェルスタッペンが好スタート。ターン1までの長い直線区間でサインツJr.の前に出た。 その後方では角田がまずますのスタートを切ったものの、ターン1へのブレーキングでウイリアムズのアレクサンダー・アルボンにアウト側から仕掛けるも接触し、はじき出される形でウォールに吸い込まれた。 アルボンとしてもイン側にはアルピーヌのピエール・ガスリーがおり、行き場がなかった。角田とアルボンは接触のダメージによりリタイアとなった。 このアクシデントによって1周目からセーフティカー出動となった。マシン回収やコース修復が行なわれる中、スタートでグリッドに正しくマシンを停車できなかったペレスには5秒ペナルティが科された。 レースは7周目から再開。フェルスタッペンがリスタートでもトップを守ったが、2周後のターン1ではサインツJr.がフェルスタッペンのイン側を差して首位を奪還した。 回生モードに不満を持つフェルスタッペンに対してノリスが襲いかかったが、両者一歩も引かず……2台が揃ってコース外へ飛び出す形でポジションを争ったことで、フェラーリのシャルル・ルクレールに先行を許してしまった。 前戦アメリカGPのインシデントをきっかけに、フェルスタッペンとノリスはF1での交戦規定を定めたレーシングガイドラインをめぐり渦中の人となっている。今回は他車をコース外に押しやったとして、フェルスタッペンに10秒のタイムペナルティ。そしてターン8のコース外でアドバンテージを得たとして、フェルスタッペンにはさらに10秒……合計20秒タイム加算のペナルティが科された。 ワンツー体制を築いたフェラーリの2台は、フェルスタッペン以下を徐々に離していった。後方でも随所で激しいポジション争いが繰り広げられ、追い上げのレースを強いられたペレスやピアストリが、バトルの最中に接触するシーンもあった。 上位勢ではフェルスタッペンが26周目終わりにピットイン。20秒のタイムペナルティも消化し、15番手でコースに復帰した。その後ろを既にピットストップを終えていたペレスが走る……レッドブルが無慈悲なまでの強さを見せた2023年には考えられなかった、2台が揃って後方を走るという光景となった。 第1スティントでフェルスタッペンの背後を走っていたノリスはこの動きに反応せず。30周目終わりまでピットストップを我慢した。2番手のルクレールはノリスの翌周にピットイン。サインツJr.は予定より1周多い32周目終わりのピットストップとなった。 ピットストップ後も変わらずサインツJr.がトップ。7秒後方にルクレール、そこからさらに5秒後方にノリスという並びだった。トップ3から大きく離される形でメルセデスの2台が接近して走り、フェルスタッペンは40周目には6番手までポジションを回復した。 ミディアムタイヤでスタートしたドライバーは第2スティントで全車ハードを選択。後方のハードスタート勢も含め50周目までにミディアムへと交換し義務を消化した。アクシデントの絡みもあったものの、前戦とは異なり、ハードスタートで大きく順位を上げるドライバーは現れなかった。 首位サインツJr.は、2番手ルクレールも含め第2スティントで使用しているハードを激しく使いすぎだと示唆。その影響か、レース終盤には一時的に1分21秒台までペースを落としたルクレールに対して、3番手のノリスがファステストペースで詰め寄った。 ノリスが1秒圏内に迫る中、ルクレールは62周目の最終コーナーでコースオフ。暴れるマシンを抑え込み、何とかクラッシュこそ免れたが、2番手をノリスに明け渡してしまった。 1分19秒台にまでペースを引き上げたノリスにルクレールはついていけず。4番手以下とは30秒のギャップを築いていたことから、フリーストップを行ない、ユーズドのソフトタイヤでファステストラップ奪取を試みた。 その30秒前方ではサインツJr.がトップチェッカー。今季限りでチームを離れることが決まっている中でシーズン2勝目を挙げた。F1キャリア通算では4勝目だ。 2位はノリス。3位のルクレールは最終周に1分18秒336のファステストラップを記録した。レッドブルはルクレールのファステストを阻止しようと、ポイント圏外を走るペレスをピットに呼び込み、新品ソフトでトライさせたものの1分19秒209とまったく届かず。コンストラクターズランキングではフェラーリがレッドブルを抜いて2番手に浮上した。 レース終盤にチームメイトを抜いたメルセデスのルイス・ハミルトンが4位。ジョージ・ラッセルが5位で、フェルスタッペンのカムバックは6位止まりとなった。 7位にハースのケビン・マグヌッセンが入り、後方から追い上げたピアストリが8位。9位にニコ・ヒュルケンベルグが入ったことで、ハースはダブルポイント獲得となった。10位で最後の1ポイントを獲得したのはアルピーヌのピエール・ガスリーだった。 なお1周目で角田を失ったRBは、残されたリアム・ローソンがペレスと熾烈なバトルを展開し、レース終盤まで12番手付近を走っていたものの、ウイリアムズのフランコ・コラピントとの接触によってフロントウイングを破損。緊急ピットストップを余儀なくされた。RB勢はそれぞれ、奇しくもウイリアムズの2台と接触する形となった。 角田は予選・決勝とクラッシュ続きの週末となったが、幸い1週間後にはブラジル・サンパウロでのグランプリが控えている。悪い流れを絶つことができるだろうか?
滑川 寛