富士山静岡空港運営、三菱地所・東急電鉄グループ参画でどう変わるか?
いわゆるコンセッション方式による民営化の場合、選定された企業グループが新たに特別目的会社を設立し、新会社に管理権を設定するケースが一般的だが、富士山静岡空港の場合は、既存の空港会社に管理権を設定することになる。 事業者の選定は有識者などで構成する審査委員会が審査。三菱地所・東急電鉄グループと双日など5社で構成するグループの2つのグループを対象に2次審査が行われ、空港活性化に関する提案、運営権対価等に関する提案で三菱地所・東急電鉄グループの評価が上回り優先交渉権者に選定された。 三菱地所・東急電鉄グループの提案では、20年後までに現行路線に加え、国内路線として仙台、成田、高松を、国際線では香港、バンコク、グアムを新規開設し、旅客による空港利用者を5年後の2023年度に101万人、20年後の2038年度には現在の倍となる135万人にまで拡大するとの目標値を掲げている。 また、運営権対価等に関する提案として、当初、県が負担を見込んでいた滑走路等の施設更新投資負担を空港会社側の負担とするとの提案がなされたほか、運営権対価として10億円が提案された。これら提案に加え、東急グループはすでに仙台国際空港で運営実績があることなども踏まえて最終的に三菱地所・東急電鉄グループを優先交渉権者に選定したものとみられる。 完全民営化がされる来年4月以降は、着陸料収入は空港会社の収益となり、県は「空港の管理運営に県費は投入しない」(空港政策課)としている。実質的に年間5億円の「赤字」を県一般財源より穴埋めしていた格好の富士山静岡空港だが、民間力の導入により、どこまで「自立」した空港に生まれ変わることが出来るのか注目される。