“モーニング”に明日はある? 9年ぶりに「喫茶店図鑑」完成/愛知
コーヒー1杯の値段でお腹いっぱいーー。愛知県を中心に、独自の発展を遂げた喫茶店メニュー「モーニング」を扱う店を紹介する「図鑑」が今月、発刊された。愛知万博が開催された2005年以来、9年ぶりに徹底取材を敢行したフードライター兼カメラマンの永谷正樹さん(44)は、本を通して「モーニング文化」の現在と未来を熱く語る。 ■ハンバーグやコロッケ、グラタンも 「モーニング」はその名の通り、朝のメニューとして全国的に導入されているサービス。しかし愛知県では、1杯300~500円のコーヒーを頼むと、トーストやゆで卵、サラダ、デザートなどが、「おまけ」として当たり前のように付いてくる。さらにハンバーグやスパゲティが出てきたり、パンが食べ放題だったり、モーニング(朝)なのに一日中やっていたり…、と各店が競い合うように独自のメニューを開発。味も見た目もコテコテに派手な「名古屋めし」の一種として、全国から注目が集まるようになった。 ■一宮市は「モーニング」の発祥地? 発祥は諸説あるが、公式に「発祥の地」を宣言しているのが名古屋近郊の一宮市。昭和30年代前半、地場産業である繊維業の関係者が打ち合わせや商談で頻繁に利用した喫茶店で、朝のコーヒーにゆで卵やピーナッツを付けるサービスを開始。それが評判を呼び、一宮から名古屋、そして同じ愛知県内の西端から東端に飛び火して豊橋市などにまで広まったとされる。 「繊維業の一宮に対して、農業や自動車産業の盛んな豊橋では、コロッケやグラタンなど『朝からそれ食う?』と、思うほどヘビーなものにまで進化。その豪華さを張り合う競争があまりに過熱したので店同士が議論して、コーヒー以外は300~500円の追加メニューにすることで決着を図ったほどです」と解説するのが『名古屋・一宮・豊橋…喫茶店モーニング図鑑』(ネコ・パブリッシング、税抜き657円)の取材、撮影、執筆を担当した永谷正樹さん。