Jリーグの8月1日以降「観客50%動員」プランの是非
専門家チームの座長を務める東北医科薬科大学の賀来満夫特任教授(感染制御学)は、新型コロナウイルスの封じ込めに成功している台湾を引き合いに出しながらこう言及していた。 「みなさまもご存じのように、台湾は8週間、要は2カ月にわたって新型コロナウイルスの患者さんが出ていません。こうした状況で基準を少し緩める、ということが報じられています」 海外に先駆けて4月12日に開幕した台湾プロ野球を例に取れば、無観客から5月8日に1000人、同15日からは2000人を上限として観客の入場を解禁。ウイルスの封じ込めにめどがついた、という政府の宣言を受けて、今月7日からは前後左右を1席分空けて着席する形にまで拡大された。 現状の規制下で観客を入れた場合、最大で収容人員の40%ほどになるという。海外ルート以外の新規感染者が8週間連続でゼロを達成しても、観客数を40%にとどめている台湾の慎重な姿勢を見れば、8月1日から50%に移行する計画を立てている日本は大丈夫なのか、と思ってしまう。 賀来座長も「来月の感染状況を見ていく必要がある、と思っています」と前置きした上で、一律50%に解禁される前段階の『ステップ3』に移るにも細心の注意が必要だと力を込めている。 「試合前後の交通機関や食事する場所などを含めた総合的な対策を講じていきながら、段階的に進めていただきたいと私から話させていただきました。数千人規模のお客さまが来られるなかで、ソーシャルディスタンスを取ることも実際にはなかなか難しい面もありますよね。なので、海外で先行している台湾の状況や取り組みなどもしっかり見ながら、議論していく必要があると思っています」 実行委員会後のメディアブリーフィングで、村井チェアマンは8月1日以降には言及していない。それでも、政府が定める目安を「大枠の考え方としていく」と明言している以上は、すべての選手を含めた関係者最大3680人に2週間ごとのPCR検査を実施し、来場するファン・サポーターへの検温や消毒などの感染予防対策を徹底していった先に、「移行期間後」を見すえていることは間違いない。