城氏が中国戦での課題を指摘「2-0で終わっていい試合ではない。攻撃の連動性と精度に問題点。長友の先発はもう厳しい」
もちろん収穫もあった。途中出場で存在感をアピールした中山と3戦連続でゴールを決めた伊東の2人だ。伊東は、元来縦への突破力が長所だったが、ゴール前に積極的に入りペナルティエリア内でプレーしようとする意識が出てきて、実際、その回数が増えてきていることが得点力につながっていると思う。ベルギーの所属クラブでのプレーを見ていても意識の変化が顕著だ。大迫の先制PKは、伊東が中国のハンドを誘ったことで得たものだったが伊東の成長が相手のミスを誘発したのだ。 5日後にはグループBで首位を走るサウジアラビアとの重要な試合が待ち受けている。3月24日にアウェーで勝ち点「1」差で迫られている3位の豪州との試合があることを考えると、続けて勝ち点3を奪い、少しでも優位な立場をキープしておきたい。 昨年、アウェーで敗れたサウジは、中盤でボールが持てるし、スピードのある選手、独特のリズムでドリブルを仕掛けてくる選手が揃っている。防戦に立たされる局面も十分に予想され、この中国戦が参考にならない、まったく別の試合展開になるだろう。真価を問われるのは、怪我で欠場となった吉田―冨安に代わってディフェンスを任される谷口―板倉のCBコンビだ。中国戦はシャットアウトしたが、ほとんど攻め込まれる場面はなく、評価のしようがなかった。 ほぼ固定メンバーで戦ってきた“ツケ”がサウジ戦に出るのか、出ないのか。長丁場のW杯予選では、必ずこういったレギュラーメンバーを怪我で欠く危機的状況は出てくるもの。そのためにもベトナム戦などで、もっと他のパターンを試すべきだったのだろうが、いまさら“たら・れば”を論じても仕方がない。 谷口には攻撃に転じる際のロングフィードへの懸念が残る。この日も正確性という意味では物足りなかった。ただ板倉はシャルケでもレギュラーポジションを取っていて力はある。サウジ戦で信頼を勝ち取り吉田との世代交代をアピールしなければならない。 厳しい意見になるが、長友は、もう先発で起用するのは難しいのかもしれない。FC東京でのプレーを見ていても明らかにパフォーマンスが落ちた。サウジ戦は思い切って中山でスタートすべきだろう。中山はボールを持てるし南野の動きが変わってくる可能性もある。中国戦で不足していたサッカーの“幅”を作ることができるかもしれない。サウジが攻撃的に出てくれば裏にスペースが生まれて狙いどころもある。内容よりも結果。期待したい。 (文責・城彰二/元日本代表FW)