詩人・谷川俊太郎さん(92)死去 小川キャスターとの対談で語ったこと「いまはすごく言葉が氾濫するように…」“できるだけ少ない言葉”で紡いだ詩【news23】
3年前の詩集「虚空へ」は、今の世の中の“あること”を意識しました。 谷川俊太郎さん(2021年) 「今の世の中はすごく言葉が氾濫するようになっちゃって、しかもフェイクニュースとか、認められていれば『事実』のようになってますよね。だからできるだけ少ない言葉で詩を書いてみたいというのが『虚空へ』の基本だったんですけどね」 SNSなどで言葉が溢れる社会に対し、できるだけ少ない言葉で… 問いが そのまま 未来の 答え 言葉が 出来ないことを 音楽は する 魂が 渇く この数小節 調べとともに 輪廻する 私 (「問いがそのまま」 谷川俊太郎著「虚空へ」新潮社) 谷川俊太郎さん(2021年) 「随分前から僕は言葉のインフレということを考えてたんだけど、今まさに本当にインフレがだんだんひどくなっていって、量ばっかりあって質がどんどん薄くなっていっている感じがしますね」 ■「平和だけが素晴らしいのか…」 詠み続けた「戦争と平和」 谷川さんは平和と戦争についての詩も読み続けています。 谷川俊太郎さん(2021年) 「とにかく戦争がなくならないんですよね。僕はいつかはなくなるんじゃないかと思ってたんだけど、テロという新しい戦争がでてきたわけでしょ。ただ、平和だけが素晴らしいのかというと、僕、ちょっとそう思えなくてね。みんな平和な世界で、気候変動はあるし格差も生まれるし、平和は素晴らしくて戦争は悪だみたいな2つに分けちゃって、どっちかを取るわけでしょ。でもそういう二分法というのは人間の頭脳の欠点だと僕は思ってるのね。『善か悪』か、『美か醜』か、みたいに2つに分けちゃう。だから戦争というのも、僕は人間の発生のときから持っている自然の何かがあるんじゃないかと思うようになりましたね」 左右のページで全く異なる情景が描かれた絵本「へいわとせんそう」。中には同じように見える絵も出てきます。 みかたのあかちゃん てきのあかちゃん (「へいわとせんそう」谷川俊太郎 文 Noritake 絵 ブロンズ新社」