「歌がその人を元気にすると信じている」 一青窈さん「デビュー前からチャリティーライブ活動」始めたきっかけと、これからの夢
そんななか、1999年、車いすの人が遊びにいけるための情報誌の創刊に立ち会いました。私以外は全員、車いすユーザー。インターネットの走りの頃で、情報を検索しては実際に現場に足を運んで記事をつくりました。横浜や浅草の歩き方や、クリスマスやお正月のデートコース、車いすでも入れるラブホテルなど、いろいろ取り上げましたね。 友人たちが生きやすい社会を目指して活動することが、とても楽しかったです。 ■gigiの活動は歌手・一青窈の原点
――音楽活動もそのときから、ですか。 一青:情報誌の編集グループがライブ活動もしていて、私も歌うようになりました。当時、ライブ会場は車いすで行きにくいところが多かったので、自分たちで主催したほうが早いね、となって。 その活動で歌っていたときに音楽関係者から声をかけられて、デビューすることに。だから、gigiの活動は歌手・一青窈の原点で、いまもずっとこれを続けているという感覚です。 ――チャリティライブでは、ご自身もエネルギーを受けている感じに見えました。
一青:そうですね、自分が歌い続ける力になっています。健康な人のライブのときはお祭りのように弾けて散っていく感じですが、病院で歌うともっと深みを感じるんです。自分の歌で喜んでくれているという実感がものすごくあります。泣いてくださる方も多いですね。 ――いろいろな気付きもあるということですか。 一青:あります。例えば、チャリティライブではリクエストを募っているのですが、それは子どもだからといって、「アンパンマンの歌がいい」とは決めつけず、「K-popがいい」というかもしれない。
リクエストを募っているうちに、「世の中で求められている歌」や「病気になったときに求められるのは、どんな歌だろう」というのが見えてきて、勉強にもなっていて。 「なぜこうもアンパンマンは、みんなに愛されるんだろう」とか、「『上を向いて歩こう』はみんな好きだな」とか、「軍歌は戦争を思い出すから嫌なのかと思っていたら、思い出として聴きたくなる人がいる」とか、いろいろなことに気付かされるんですよね。 ■あなたのために歌う1秒がある