「石川祐希と高橋藍が合流すると出番が減って…」男子バレー“13番目の選手”富田将馬(27歳)の再出発「楽しかった小川&ラリーとのパリ生活」
悔しい思いを味わったのは、選ばれた12名の選手だけではない。パリ五輪バレーボール日本代表・富田将馬(27歳/大阪ブルテオン)は、“13番目の選手”として最後までチームを支え続けた。葛藤を乗り越えた男の本音と再起に迫った。【NumberWebノンフィクション全4回の1回目/エバデダン・ラリー編、小川智大編も公開中】 【画像】「涙が止まらない石川祐希と高橋藍」「ブランの前で子供のように泣く西田」テレビでは映らなかった男子バレー“涙の円陣”を見る「富田小川ラリーも一緒に…奇跡の集合写真」 青から青へ。ユニフォームの色は変わらないが、背番号は変わった。 「9番から、5番。結構、馴染んでいると思うんですけどね」 中学生の頃からアローズジュニアに在籍。慣れ親しんだ東レアローズを離れ、富田将馬は今季、SVリーグで初代王者を狙う大阪ブルテオンに移籍した。 同じアウトサイドヒッターには、キューバ代表のミゲル・ロペス、アメリカ代表のトーマス・ジェスキーらが揃い、コートに立つためには熾烈なメンバー争いを制さなければならない。だが、それも「自分が望んだこと」と言い切る。 「簡単じゃないのはわかっています。でも、もう一段階上のステージに立つためには、もっと厳しい環境で成長したいと思ったんです」 現状に満足するだけでなく、さらに先を目指すのはなぜか。「13番目の選手」として臨んだパリ五輪の悔しさがあったからだ。
オリピックに行けるのは、わずか12人
パリ五輪に向け、スタートした2024年。五輪のコートに立てるのは、他の国際大会と比べて少ない12名。アウトサイドヒッターもメンバー選考の焦点になることはわかっていた中で、自分をアピールすべく意気込んでいた。 「アウトサイドは(4月の)沖縄合宿からセレクトがスタートするのはわかっていたので。最初からフルスロットルでした」 もともとサーブレシーブや守備力には定評があったが、それだけでは生き残ることはできない。課題としてきた前衛での攻撃力向上や、サーブ力を磨き、合宿時から好調を維持し続けた結果、ブラジルで開催されたネーションズリーグの初戦でチャンスを掴んだ。 アルゼンチン戦にスタメン出場すると、攻守にわたり大活躍を見せて勝利に貢献。ただ、コートでは笑顔が目立ったが、内心は「焦りしかなかった」と振り返る。 「自分の良し悪しだけでなく、周りも気になる。何より、ギリギリまでオリンピック出場をかけたポジション争いをすること自体が初めて。ストレスも感じていたし、力も入るし無茶もする。『ケガをしないように』と心がけながらも、多少どこかが痛くても少しぐらいなら大丈夫だ、と言い聞かせていた。毎日ギリギリでした」
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