ヨハン・クライフの“狂信者”だからこそ、ボルダラス監督はアンチ・フットボールを選ぶ「彼に何年も前に言われたんだ…」
ヘタフェを率いるホセ・ボルダラス監督が、信奉するヨハン・クライフ氏との秘話を明かした。24日、スペイン紙『マルカ』が報じている。 アンチ・フットボール。ヘタフェやバレンシアの指揮官としてスペイン国内で成功を収めてきたホセ・ボルダラス氏の代名詞とも言えるスタイルだ。特に、元日本代表MF柴崎岳(現:鹿島アントラーズ)の在籍期間とも被るヘタフェでの第1次政権の最初の4年間は、球際での激しさや手数を掛けない攻撃でその印象を顕著に、それでいて確かな強さを示していた。2016年夏に就任した後、セグンダに降格したばかりの同クラブを1年でラ・リーガに復帰させると、2年目は堂々の8位フィニッシュ。3年目には5位にまで躍進し、ヨーロッパリーグの出場権を獲得。4年目も8位と安定した成績を残した他、ヨーロッパリーグではアヤックスらを倒してラウンド16にまで駒を進めていた。 そんなボルダラス監督だが、事あるごとに自身が信奉しているのは、故ヨハン・クライフ氏であると語っている。現代フットボールの先駆者は、「美しく勝利せよ」という哲学の下、アヤックスやオランダ代表、そしてバルセロナに種子をまいてきた。それは、スペクタクルで、見るものを魅了するスタイル。同指揮官がヘタフェで体現しているものとは正反対だ。 その一方で、クライフ氏は「結果が伴わないクオリティは無意味だ。しかし、クオリティが伴わない結果は退屈だ」とも語るなど、リアリスト的な側面も見せていたという。そして、それこそがボルダラス監督が、クライフ氏に共鳴した部分なのだろう。 25日に控えるラ・リーガ第7節バルセロナ戦に向けた前日会見に出席した同指揮官は、「私にとって、良いフットボールをするということは勝つことだ。この世界には、多くのロマンティシズムがあることも知っているけどね」と語りつつ、「ヨハン・クライフに何年も前に言われたんだ。『良い選手がいれば美しいフットボールができるが、そうでないのなら忘れてしまえ』と。共通の友人が仲介になってくれて、私はその言葉をいただいた。真理だと思ったよ」と秘話を明かしている。 結局のところ、技術の優れた選手が集まるのはバルセロナのような一流クラブで、ヘタフェのようなスモールクラブでは必ずしもそうとは限らない。だからこそ、ヨハン・クライフの“狂信者”は、「そうでないのなら忘れてしまえ」という教えの通り、現有戦力の力を最大限に発揮できるアンチ・フットボールを選ぶのだ。
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