日本のM&Aブーム、金融機関の競争は次の段階へ-外資なお劣勢
(ブルームバーグ): 日本国内のディールメーキングの規模は今年、過去最高レベルに達している。ただ海外勢は手放しで喜べる状況ではない。今のところ国内の大手行や、企業と強固な関係を築いている法律事務所が、この分野をほぼ独占しているからだ。
ブルームバーグの集計によると、日本での企業の合併・買収(M&A)を含む取引総額は今年48%増え、約2000億ドル(約31兆5600億円)に上る。これに対しアジア太平洋地域全体では17%増にとどまる。中国は2710億ドルと依然として同地域最大規模の市場だが、19%減となっている。
取引活発化を受け、手数料獲得に向けた投資銀行の競争の場も変化しつつある。
年の瀬に浮上した案件は、ホンダ主導の日産自動車との経営統合に向けた交渉だ。実現すれば販売台数で世界3位の自動車グループが誕生することになる。
国境をまたいだ案件を中心に一部案件で世界的な投資銀行がアドバイザーを務めるケースもあるが、ブルームバーグの集計によれば、日本では国内企業がなお優位な立場にある。法律事務所を巡ってはさらにこうした傾向が顕著で、国内の法律事務所がトップ5を独占している状況にある。
東芝買収の助言でスポットライトを浴びたクロスポイント・アドバイザーズの共同創業者桂木明夫氏は、一部の外資系金融機関は日本で比較的成功しており、多くのディールに取り組み続けているが、実際には融資や引き受けを通じた関係から日本のメガバンクの方が企業へのアクセスがはるかに豊富だと指摘する。
ホンダと日産の案件では、ホンダは野村証券を、日産はみずほ証券とBofA証券を持ち株会社設立による経営統合検討のファイナンシャル・アドバイザー(FA)に選任していると23日に発表された。
国内勢の強さは、テクノロジー業界のような戦略的に重要な分野での最近のディールにも表れている。グローバルな投資銀行の方が日本の金融機関よりも強いとされる同分野において、外国の買い手が成功するのを一層難しくしている。