「ほかの子」との“比較”は危険! 子どもの自己肯定感を下げないための“褒めかた”のコツ
「ほかの子よりすごい」の主語は「ほかの子」
「ほかの子はできてるよ?」と子どもに言った経験はありますか? 私はもちろんありますし、その度に後悔して子どもに謝ってきました。この「ほかの子との比較」は、子どもとのコミュニケーションで避けるべきことのひとつなのですが、なぜだかご存じでしょうか? 「ほかの子はできてるよ?」という言葉の主語は「ほかの子」ですね。つまり、この言葉は目の前の子どもではなく、その子の周りの子どもたちを中心に考えられた言葉です。「このくらいはしてもらわないと困る」といった大人の不安や焦りが漏れ出た言葉とも言えます。しかし、子どもからすれば、「あなたはほかの子よりできてない」 という意味に受け取れる言葉でもあり、「自分はダメだ」と自信を失わせる可能性を秘めています。 同じように、「ほかの子よりできているよ!」「ほかの子よりすごい」という肯定的な比較も避けるべきだと思います。この言葉、表面的にはポジティブに聞こえますが、 主語はやはり「その子の周りの子どもたち」です。子どもに「ほかの子よりがんばらなきゃいけない」というプレッシャーを与えかねません。 では、どうすればよいのでしょうか? 簡単です。その子の「過去」と「今」を比較するのです。子どもが過去に比べてどれだけ成長したのか、どれだけ進歩したのか、 どれだけがんばってきたのかを認め、ともに喜びましょう。「去年よりも野菜が食べられるようになった」「半年前よりも夜更かししなくなった」といったように、ほかの子どもを登場させることなく、その子の中で起きている成長を認めるのです。 そんな大人に対して、子どもは「この人は自分をよく見てくれている」と安心を感じます。比較をするのは目の前の子どもの過去と現在だけでいいのです。 【今回紹介したのはこちら】 『児童精神科の看護師が伝える 子どもの傷つきやすいこころの守りかた』 こど看 著/KADOKAWA 【著者プロフィール】 こど看 精神科認定看護師。精神科単科の病院の児童思春期精神科病棟に10年以上勤める。現在も看護師として病棟勤務しながら、「子どもとのかかわりを豊かにするための考え方」をSNS等で精力的に発信中。メンタル系YouTuberの会所属。一児の父。