米CPI、4カ月連続で着実に上昇か-インフレ抑制の進展失速も
(ブルームバーグ): 米労働省が11日に発表する11月の消費者物価指数(CPI)は4カ月連続で着実な伸びを示し、インフレ率の低下ペース失速をうかがわせる数字になりそうだ。
ブルームバーグ調査の予想中央値によれば、変動の激しい食料品とエネルギーを除くコア指数の上昇率は前月比0.3%と10月と同幅の伸びが見込まれる。労働統計局(BLS)が公表するCPI全体の上昇率も0.3%と、前月の0.2%から若干加速する見通しだ。
11月のCPIと12日発表の同月の生産者物価指数(PPI)は、17、18日に開催される連邦公開市場委員会(FOMC)会合前に連邦準備制度当局者が入手できる最後のインフレデータとなる。
トレーダーはおおむね3会合連続の利下げ決定を引き続き予測しているが、一連の強めのインフレ指標が今後の利下げのペースダウンを促すことも考えられる。
ドイツ銀行の米国担当シニアエコノミスト、ブレット・ライアン氏は「インフレデータがおおむね予想通りなら連邦準備制度は追加利下げを来週決定するとみている。しかし今回の会合から発せられるメッセージは、今後のより漸進的な緩和ペースを大いに強調するとわれわれは考えている」と見解を示した。
より広範なディスインフレ傾向に全般に寄与してきたカテゴリーの幾つかを見る限り、最近数カ月はインフレ抑制の勢いが弱まった。中古車やアパレル関連のコスト高を背景に11月のコア商品価格が3カ月連続で上昇したとエコノミストの多くは想定している。住宅・自動車保険もインフレの高止まり要因と思われる。
ウェルズ・ファーゴのエコノミスト、サラ・ハウス氏らは「インフレが連邦準備制度の目標に戻る最終行程はますます厳しく見える」とリポートで指摘。2%の物価目標に至る道のりは「2026年の予測期間まで長引く」と見通しを明らかにした。
11月5日の米大統領選以降、消費者の景気や家計に対する見方は改善されたが、減税や報復関税など、トランプ次期米大統領の選挙公約の一部はインフレを加速させかねないと懸念される。例えば一部企業は関税引き上げを見越して値上げを検討している。