福住仁嶺、歓喜の復活! 超僅差の争いを制し、3年ぶり2度目のポール獲得【スーパーフォーミュラ第4戦富士予選レポート】
7月20日(土)、『第1回瑶子女王杯全日本スーパーフォーミュラ選手権第4戦富士大会』の公式予選が静岡県の富士スピードウェイで行われ、福住仁嶺(Kids com Team KCMG)がポールポジションを獲得した。 【写真】わずか0.017秒差の予選2番手となった岩佐歩夢(TEAM MUGEN) 悪天候のため途中終了となった第3戦SUGOから4週間。戦いの舞台は真夏の富士へと移った。富士は今季初開催ながら、約2週間前には2日間のインシーズンテストが行われ、各車が精力的に走り込んだコース。昨年はこの富士テストを境に後半戦は勢力図変動も見られたことから、シーズン中盤から後半を占ううえでも重要な一戦となる。 この日午前中のフリープラクティスでは、テストから引き続き好調を見せる牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が1分23秒582というトップタイムを記録。セッション直後の公式映像のインタビューで牧野は「テストのときとはだいぶコンディションが異なる」と口にしていたが、予選に向けてもコンディションへの合わせ込みがカギを握ると思われた。 ■Q1最速はルーキー岩佐歩夢 14時、気温32度/路面温度48度というドライコンディションのなか、まずはQ1・グループAのセッションが始まる。出走したのは小高一斗(KONDO RACING)、牧野、小林可夢偉(Kids com Team KCMG)、岩佐歩夢(TEAM MUGEN)、平良響(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)、笹原右京(VANTELIN TEAM TOM’S)、阪口晴南(VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)木村偉織(San-Ei Gen with B-Max)、大津弘樹(TGM Grand Prix)、山本尚貴(PONOS NAKAJIMA RACING)という10名だ。 セッション開始とともに岩佐を先頭に各車が続々とコースイン。可夢偉は半周ほど遅らせてコースへと向かっていった。 各陣営が1周ないしは2周のチェック走行を経てピットへといったん戻るなか、山本はアウトラップ含め3周を走行してからピットイン。直後に残り4分半を切ると、いよいよ各車がアタックのためコースインしていった。 アウト/ウォーム/プッシュというアタック戦略を採る陣営が大半となるなか、遅れてコースインした可夢偉と笹原は1周早くアタックを開始。まずは可夢偉が1分23秒505というターゲットタイムを残し、笹原が1分23秒392とこれを上回る。笹原はここでチェッカーを受けるが、可夢偉は2周連続のアタックへと入っていった。 チェッカーが振られるなか、岩佐が1分22秒780と22秒台に入れ、首位に。牧野は2番手、山本は3番手と、いずれも岩佐のタイムを上回ることができない。小高は5番手タイムを残すが、阪口が小高と笹原を上回り4番手へと飛び込んだ。 平良は8番手、最終アタックに入っていった可夢偉も自己ベスト更新はならず、7番手でこのセッションを終えた。この結果、岩佐、牧野、山本、阪口、笹原、小高までがQ2進出を決め、可夢偉、平良、木村、大津がここで予選セッションを終えることになった。 続く14時15分からのQ1・グループBには、山下健太(KONDO RACING)、太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、福住、三宅淳詞(ThreeBond Racing)、大嶋和也(docomo business ROOKIE)、野尻智紀(TEAM MUGEN)、国本雄資(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)、坪井翔(VANTELIN TEAM TOM’S)、大湯都史樹(VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)、Juju(TGM Grand Prix)、佐藤蓮(PONOS NAKAJIMA RACING)という11名が出走。 こちらも、セッション開始直後から全車がコースへと向かい、各車はいったんピットへマシンを戻すが、ここでもPONOS NAKAJIMA RACINGの佐藤だけが1周多くチェック走行を行った。 残り5分を切り、野尻とJujuを先頭に、各車がアタックのために再コースイン。ここでは坪井がもっともコースインを遅らせる。どうやらアウト/プッシュというアタック戦略のようで、アウトラップを終わらせた野尻の目の前でコースへと入る。 このため、最初に本格的なタイムを記録したのは坪井。1分23秒252を記録してトップへと立った。直後の野尻はこのタイムを上回ることができず、1分23秒306で2番手に。坪井のタイムを最初に破ったのは大湯で、1分23秒087を記録するが、セクター1、2で全体ベストを刻む好アタックを見せた福住が1分22秒963と22秒台へと入れ、暫定ポールを奪った。 その背後では、山下が坪井を上回る3番手タイムを記録。太田も野尻に続く6番手へと飛び込み、なんとかQ2進出を決めた。 この結果、Bグループからは福住、大湯、山下、坪井、野尻、太田がQ2進出。わずか0.016秒、太田にとどかなかった佐藤、以下、国本、大嶋、三宅、Jujuがここでノックアウトとなった。 ■トップ4台が0.03秒に入る大接戦 12台の車両により決勝スターティンググリッド上位を決する7分間のQ2のセッションは、14時35分から。TEAM MUGENの2台、DOCOMO TEAM DANDELION RACINGの2台、大湯、福住はチェック走行とタイヤ交換を行わず、直接アタックへと入ることを選択した。 残り5分を切り、岩佐を先頭にコースイン。ここでVANTELIN TEAM TOM’Sの2台は残り3分15秒を切ってからコースに入り、アウト/プッシュというアタックプラン、他の陣営はアウト/ウォーム/プッシュというアタック戦略へと分かれることに。 緊張感高まるなか、先頭でアタックに入った坪井が1分22秒573のターゲットタイムを記録。セクター3で全体ベストを記録した岩佐が1分22秒560とこれを破る。野尻が3番手、さらにこれを上回るタイムを残した牧野が代わって3番手に立つも、岩佐のタイムには届かない。 これで岩佐のポールは決まりかと思われたが、福住が1分22秒543と、岩佐のタイムを0.017秒更新、逆転でポールポジションを奪う形となった。さらに大湯も1分22秒571を記録し、岩佐と坪井の間に割り込み、太田も5番手へとポジションを上げている。 この結果、ポールポジションは福住。以下、岩佐、大湯、坪井、太田、牧野、野尻、山下と続く、予選上位8台のオーダーとなった。トップ4台の差はわずか0.03秒。トップ8台までも0.3秒以内という、激戦のQ2となった。なお、Q2のセクター1ベストは山下、セクター2ベストは牧野、セクター3ベストは岩佐が記録しており、福住はセクターベストこそないものの、全セクターをまとめあげての最速ラップ記録となった。 福住は2021年第2戦鈴鹿以来、3年ぶり2度目のポールポジション獲得。その2021年に2勝を挙げてランキング2位となって以来、2022年のチーム移籍、そして2024年にはメーカー移籍と、環境を変えながらもがき苦しんできた福住にとって、復活をアピールする予選最速となった。 また、KCMGとしてはチーム初のポールポジションとなり、今季取り組んできた体制面へのテコ入れが、ひとつ実を結んだ形ともなっている。 41周または75分で争われる第4戦決勝は、21日15時にフォーメーションラップのスタートが切られる予定だ。 [オートスポーツweb 2024年07月20日]