「選挙圧勝」でも次期トランプ政権は簡単じゃない
■いつの間にか「お金持ちは民主党」になっていた! これだけの巨額マネーがうごめくのがアメリカ大統領選である。いやもう、わが国の「政治と金」問題が可愛らしく思えてくる。透明性があるのは結構なことだが、いかんせん途方もない金額が4年ごとに選挙というビジネスに投じられている。 ハリス陣営としては、バイデン大統領から引き継いだ資金に加えて、自前で集めたお金も含めて、ライバル陣営の倍以上の選挙資金を使って負けた、という事実は重い。いったい敗因はどこにあったのか。そして民主党は2028年に誰を候補者として、どんな戦略で戦うべきなのか。そういう議論はすでに始まっているはずだ。
そこで手がかりとなるのが出口調査である。いつもの習性でCNNの出口調査を見ていた筆者は、このデータを見てあっと息をのんだ。 このCNNの出口調査の「Income」(所得)の「2つの表」をご覧いただきたい。年間世帯所得が5万ドル以下の人たちの間では、トランプさん支持が50%、ハリスさん支持が47%で、トランプさん側のほうが3ポイントも高いのだ。 これは「共和党はお金持ちの政党で、民主党は労働者の政党」という先入観に相反するデータである。逆に、10万ドル以上の人たちの間では、ハリスさん支持のほうが「51%対46%」で5ポイントも高くなっている。「お金持ちは民主党」になっているのではないか。
それにしても1ドル=150円で計算すると、年収750万円以下が「貧困層」にされてしまう昨今のアメリカ経済はちょっと恐ろしい。そこでCNNの過去のデータを振り返ってみると、以下のとおりとなる。 当たり前の話だが、ほんの10年くらい前には年収5万ドル以下の層は、全体の4割くらいを占めていた。そして民主党支持者が多かった。逆に10万ドル以上の層はせいぜい3割で、共和党支持者のほうが多かった。それが「普通」の感覚であろう。