投資額の半値で損切りするハメに…痛手負った72歳現役FPが教える「素人が絶対手を出してはいけない金融商品」
■短期投資で失敗した場合はリカバリーが利かない 自分の実力以上の投資をすると、射幸心(しゃこうしん)を刺激し、欲に身を任せることになる。投資は欲に左右されると失敗すること多い。冷静に機械的に投資をするのが成功の秘訣(ひけつ)である。 また、これらのすべてが、短期投資による利益を目指したものだ。短期投資で成功すればよいが、失敗した場合はリカバリーが利かない。複雑な仕組みの商品は手間がかかるので、保有すればするだけ、費用がかさむ傾向にある。金融機関に手数料だけ払って、投資家自身は損をすることなりやすい。 ■投資における方法論とは? それでは、投資における方法論とは何だろうか? 今まで説明してきたことの逆をやれば良い。 ---------- 投資の対象とすべきもの 1.自分がその仕組みをきちんと理解した商品 2.手数料、税金、借入金の金利など自分以外の取り分が大きくないもの 3.冷静に半ば機械的に投資できるもの 投資の対象としてはいけないもの 投機心を煽るもの、レバレッジを使って自分の資金力以上の投資をするもの ---------- 具体的にいうと投資すべき対象は次のようになる。 ---------- 1.インデックス・ファンド 銘柄のリスクの分散が可能 手数料が安い ひとつひとつの企業の業績ではなく、一国の経済全体の動向を理解して投資をすればよい。2.積立投資 機械的に投資ができて、欲が絡みにくい。 買いにおける時間のリスクの分散ができる。 3.NISA、iDeCoを使う 運用益に税金がかからない。 4.長期投資 売り買いにおける時間のリスクの分散ができる。心理的に余裕が持て、冷静な判断が可能。 ---------- これらの条件を満たす投資方法は、「NISAを使ってインデックス・ファンドに長期積立投資を行う」ということになる。
■2014年に1万ドル投資をしていれば、10年で2.7万ドルに 金融庁の肩を持つわけではないが、貯蓄から資産立国へのスローガンで始めた新NISA制度は上記の条件を満たしていて評価できる。結論は月並みであるが、短期で大きな利益を得ようとするのは投資ではなく、一種のギャンブルだ。 アメリカS&P500指数の過去10年の複利ベース年平均利回りは10.62%、過去50年の複利ベース年平均は8.65%である。 1974年に1万ドル投資をすれば、50年で63.4倍の63.4万ドルに、2014年に1万ドル投資をすれば、10年で2.7倍の2.7万ドルになっている(一括投資でドルで運用、手数料・税金は考慮しない場合)。これだけ増えれば、資産形成という観点からは、大成功だということができる。 具体的には、NISAやiDeCoを使って、S&P500のようなインデックス・ファンドに長期積立投資をするのが基本的な資産運用方法ということになる。 ---------- 浦上 登(うらかみ・のぼる) コンサルタント 早稲田大学政治経済学部を卒業後、三菱重工業に入社、海外向け発電プラントの仕事に携わる。ベネズエラ駐在、米国ロサンゼルス営業所長などを歴任後、三菱重工グループの保険代理店に移り、取締役東京支店長。2009年にはファイナンシャル・プランナーの上位資格CFPを取得。2017年にサマーアロー・コンサルティングを設立、著書に『70歳現役FPが教える 60歳からの「働き方」と「お金」の正解』(PHP研究所)がある。 ----------
コンサルタント 浦上 登