投資額の半値で損切りするハメに…痛手負った72歳現役FPが教える「素人が絶対手を出してはいけない金融商品」
■高級そうな衣装をまとってお金を搾り取る金融商品 図表1を見ていただきたい。丸印は限月ごとに現れる価格差を示している。限月ごとに価格差を負担する必要があるので、原油ETFの価格は原油先物価格が上がっても、思うように上がらない、または、下がったらさらに下がる。 要するに、原油の価格が上がれば、原油ETFの価格も上がるという生易(なまやさ)しいものではなかったのだ。ろくに、原油ETFの仕組みをわからずに買ってしまって損をしてしまったという身に染みる実例である。 原油ETFは原油の価格にリンクしないだけでなく、長期保有をすると、いろいろな費用が差し引かれ、段々価格が下がっていく。これでは、投資商品としても、問題があると言わざるをえない。 残念ながら、金融の世界には、このように一見高級そうな衣装をまとって投資家からお金を搾り取ろうという商品が多くある。そのような商品は販売者である証券会社にとっても手数料が高いので、彼らが勧めてくることも多い。 デリバティブとか、レバレッジとか、横文字を使った商品はかなり市場に出回っているが、構造や仕組みが複雑なだけでなく、そのほとんどが長期投資には向いていない。知識があって、その仕組みを理解した人なら、投資を控えるだろう商品である。 これに類する商品をもう一つ挙げておこう。 ブルETFという商品だ。これは、日経平均などの指数にリンクして価格が上下するが、日経平均が1000円上がるとその2倍の2000円上がる仕組みになっている。これは、「てこの原理」を効かすという意味でレバレッジETFとも呼ばれている。日経平均が大きく上がりそうなときに投資して上がったときに売ってしまえば儲かるが、逆に日経平均が下がったときには、損失が倍になる。長期で保有すれば、さまざまな手数料が引かれるので大きく目減りしてしまう。 ■投資のルール2「手数料の大きいものには投資しない」 投資の敵は借金、税金、手数料といわれる。要するに自分自身以外の関係者の取り分が大きいものに投資してはいけないということだ。 そのうち投資商品を扱う運用会社、保険会社などの取り分の大きな商品についての例を挙げよう。 まず、第一に挙げるべきものは、信託報酬手数料の大きい投資信託だ。 投資で成功するには、余分な手数料を排除して、徹底した低コストを目指す必要がある。 投資信託で最も気をつけるべきは、信託報酬手数料だ。これは保有期間に応じて年に何パーセントという形で取られる。 投資信託には、販売会社、運用会社、管理会社など多くの企業が関与するので、それらの費用が保有期間に応じてかかってくる。 最も安いもので年0.1%程度、最も高いもので年2.5%くらいかかる。0.1~2.5%と聞いて、「なんだ、大したことないな。」と思うかもしれないが、実はそうではない。