「都内有数のバードウォッチング名所」「森があるだけでも住むに値する」…。あの勝海舟も愛した大田区・洗足池は“住むと、ちょっといい街”だった
建築会社や不動産会社などが毎年発表する「住みたい街ランキング」。トップテンの顔ぶれを眺めると、常連の吉祥寺や恵比寿、新宿、目黒、最近だと北千住や大宮なんかも人気だ。しかし、どれも「まぁそうだろうな」と思えるような街ばかり。 この連載では、住みたい街ランキングにはなかなか登場しないけれど、住み心地は抜群と思われる街をターゲットに定め、そこを実際に歩き、住む人の声と、各種データを集めてリポート。そして、定番の「住みたい街」にはない、「住むと、ちょっといい街」の魅力を掘り起こしていく。 【画像11枚】あの勝海舟も愛した「洗足池」はこんな感じ
今回は、東急池上線の「洗足池駅(東京都大田区東雪谷1-1-6)」界隈だ。駅は地域のシンボルともいえる「洗足池」の目の前に位置する。 ■洗足池あっての「池上線」 池上線は、大田区の池上にある「池上本門寺」を参拝する人たちのために計画された路線とされる。 また、池上という地名は、洗足池のほとりに鎮座する「千束八幡神社(大田区南千束2-23-10)」に縁がある。 承平5年(935年)に起こった平将門の乱を平定するため、都から派遣された藤原忠方が、そのままこの地に館を構えて八幡神社を氏神として祀った。これが、池の上手に立地したことから忠方は池上氏を名乗ったという。
要するに、現在まで残る「池上」の地名は洗足池が由来となっているわけだ。つまり、池上線は洗足池あってこその路線名となる。 さて、今回は少し趣向を変えて洗足池駅の隣、東急池上線「長原駅(大田区上池台1-10-10)」から洗足池駅まで歩いてみた。 「直線距離で600mほどだし、道中には勝海舟記念館などもあって面白いよ」 東急池上線沿線に住む友人にそう教えられたからだ。 東急線は、長原駅の隣、旗の台駅で池上線と大井線が交差している。このあたりは駅の間隔が短いので隣駅まで歩くのはさほど苦にならない。
駅の間隔が短いということは、駅を中心とした街区が高密度に形成されているともいえる。間隔は短いが、駅ごとに街の表情が変わり、歩いているだけでもその街ならではの空気を楽しむことができる。 長原駅は、JR五反田駅から東急池上線に乗り換えて、6駅目だ。ここも、「住むとちょっといい街」である。 地図で赤くマーキングしたあたりを歩いた。 こぢじんまりとした長原駅の駅舎は2021年に「木になるリニューアル」ということで、軒下に木材を使った温かみのあるデザインに生まれ変わった。駅前の商店街の雰囲気とマッチしていい感じだ。