「都内有数のバードウォッチング名所」「森があるだけでも住むに値する」…。あの勝海舟も愛した大田区・洗足池は“住むと、ちょっといい街”だった
街のことを紹介する前に、少しだけ愚痴を書く。 もともと街歩きが好きで、この連載は個人的にも楽しんでやっているのだが、最近気になる報道を見た。 都内の住宅街で、不審な男が特定の住宅にカメラのようなものを向けて撮影している。「もしや闇バイト強盗の下見か!?」不安になった住民が警察に通報した。 そんな事案だ。 この男が本当に闇バイトなのか、真相はわからない。しかし、不安になる住民の気持ちはわかる。 さて、ここからが愚痴である。
筆者のやっていることは、この不審人物と大差ない。得体の知れないおっさんが、都内の住宅街をぶらぶら歩きながら、写真を撮っているのだ。はたから見れば、たぶんかなり怪しい。幸い警察官の職質などはまだ受けたことはないが、いつ通報されてもおかしくない、ように思う。 街の取材はぶらぶら歩いて、そこに暮らす人に話を聞いて、これはと感じる風景があったらカメラを向けて、時々ノートにメモを取りながら、またぶらぶらする……やはり、かなり不審だ。
だからいつも、スマホで当連載のトップ画面を素早く見せられるようにセットしておき、名刺もすぐに取り出せるよう準備している。何か言われたら光速で説明できるようにだ。 と、愚痴はこのくらいにして、今回も圧倒的に怪しい男が住宅街をぶらぶらしながら見聞きした街の魅力を語るのである。 ■「あればラッキー焼肉定食」 長原駅前は、すぐに商店街だ。車1台が通れるかな、くらいの道幅に赤レンガが敷き詰められている。雨が降っても滑りにくく、歩きやすい。この赤レンガの通りは、商店街をぐるりと囲むようにかなり広範囲に続く。
「駅周りはコンパクトだけど、少し歩けば閑静な住宅街なんですよ。中原街道から向こうには芸能人とか文化人の方々もたくさん住んでいるんですよね。そういう人たちにも選ばれる街だし、かといって排他的という感じもありません」 そう語るのは、2022年にオープンした焼肉屋「慶楽苑(大田区上池台1-15-13)」のオーナー鈴木梨華さんだ。 「このあたりは、ファミリーでゆっくりできるようなお店が少ないということもあって、うちはわりと喜ばれていると思います。あと、少し歩けば洗足池まで行けるでしょ。ペットの散歩でお出かけになる方も多い。うちも個室では小型犬まではOKにしているんですよ」(鈴木さん)