オバケ調査で不安解消 事故物件に悩む不動産オーナー増加
風評で不動産価値は下落
実際に孤独死などによって「あそこは事故物件だ」との風評が立つと、不動産価値は大きく毀損する。そこにビジネスチャンスを見いだす不動産会社が全国に存在する。オーナーから事故物件を安く買い取り、リフォームした上で、ほとぼりが冷めた頃に高値で売る転売ビジネスを展開している。 もちろん転売業者に安く買われるぐらいなら、自ら事故物件を運用し続けた方がよいと考えるオーナーはたくさんいる。ただしその場合、特殊清掃やリフォームの費用を自ら負担して、再び貸し出せるように部屋を整えねばならない。その費用は数十万~数百万円に達する。 また部屋をきれいな状態に戻しても、事故物件だと家賃を減額しなければ借り手はなかなか見つからない。 中には事故物件であることを伏せたまま部屋を貸すオーナーもいるが、国土交通省は告知の基準を明確にすべく21年、「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」を公表。遺体が発見されてから少なくとも約3年間は、事故物件であることを借り手に告知することを求めた。 さらに事故物件で怪しげな人影が見えたり、異音が聞こえたりし、入居者が「怪奇現象かもしれない。ここにはもう住めない」などと恐れるような事象が発生している間は、3年を超えてもその不可解な事実を告知しなければならない。告知義務を定めた宅地建物取引業法は、借り手が契約を締結するか否かを判断する上で、不動産の仲介業者が重要な情報を隠すことを禁じている。法律は超常現象を肯定も否定もしておらず、本当に怪奇現象なのかどうかは制度上、一切関係がない。 事故物件であることを告知すれば当然、借り手は見つかりづらくなる。オーナーは家賃を減額せざるを得なくなるなどして、大きな損失を被ることになる。そこで保険各社が、事故物件化のリスクに備える保険商品を提供している。一般的な名称は「孤独死保険」だが、孤独死のみならず殺人や自殺に対応する商品も多い。契約しておけば、事故物件化しても、オーナーは特殊清掃やリフォーム、家賃の減額に伴って発生する損失を一定程度補償してもらえる。 ●オバケ調査は一晩5万円 家賃の減額を防ぐサービスも存在する。それがカチモードのオバケ調査である。 不動産会社に長年勤めていた児玉氏が22年に独立し、カチモードを設立した。一晩当たり5万円で児玉氏自身が調査に出向いている。異常の有無を調べるために持ち込む各種機材は、物理学者と相談して選定した。