「緊急事態宣言」安倍首相が会見(全文1)このペース続けば1か月後に感染者8万人超
最も恐れるべきは恐怖、それ自体
今、私たちが最も恐れるべきは恐怖、それ自体です。SNSで広がったデマによってトイレットペーパーが店頭で品薄になったことは皆さんの記憶に新しいところだと思います。ウイルスという見えない敵に大きな不安を抱くのは私も皆さんと同じです。そうしたとき、SNSは本来、人と人の絆を深め、社会の連帯を生み出すツールであり、社会不安を軽減する大きな力を持っていると信じます。しかし、ただ恐怖に駆られ、拡散された誤った情報に基づいてパニックを起こしてしまう。そうなるとウイルスそれ自体のリスクを超える甚大な被害を私たちの経済、社会、そして生活にもたらしかねません。 専門家の皆さんの見解では、東京や大阪での感染リスクは、現状でも不要不急の外出を自粛して普通の生活を送っている限り決して高くない。封鎖を行った海外の都市とはまったく状況が異なります。ですから地方に移動するなどの動きは厳に控えていただきたい。地方には重症化リスクが高いといわれる高齢者の皆さんもたくさんいらっしゃいます。その感染リスクを高めることのないようお願いいたします。 当然、社会機能はしっかりと維持してまいります。自治体とも協力しながら、電気、ガス、通信、金融、ごみの収集・焼却など、暮らしを支えるサービスは平常どおりの営業を行っていきます。高齢者の介護施設や保育所などで働いておられる皆さんにも、サービスを必要とする方々のため、引き続きご協力をいただくようお願いいたします。食品など生活必需品の製造・加工に関わる皆さん、物流に携わる皆さん、そして小売店の皆さんには営業をしっかりと継続していただきます。ですから皆さんには、どうか正しい情報に基づいて冷静な行動を心よりお願いいたします。
アビガン備蓄量を現在の3倍、200万人分に拡大
この2カ月で私たちの暮らしは一変しました。楽しみにしていたライブが中止になった。友達との飲み会が取りやめになった。行きたいところに行けない。みんなと会えない。かつての日常は失われました。ただ、皆さんのこうした行動によって多くの命が確実に救われています。お1人お1人のご協力に心より感謝申し上げます。率直に申し上げて、政府や自治体だけの取り組みではこの緊急事態を乗り越えることはできない。これは厳然たる事実です。感染者の爆発的な増加を回避できるのか。1人でも多くの重症者を死の淵から救うことができるのか。皆さんを、そして皆さんが愛する家族を守ることができるのか。全ては皆さんの行動に懸かっています。あらためてご協力をお願いします。 まったく先が見えない大きな不安の中でも、希望は確実に生まれています。日本中、世界中の企業、研究者の英知を結集して、ワクチン開発、治療薬の開発が進んでいます。新型インフルエンザの治療薬として承認を受け、副作用なども判明しているアビガンは、すでに120例を超える投与が行われ、症状改善に効果が出ているとの報告も受けています。観察研究の仕組みの下、希望する患者の皆さんへの使用をできる限り拡大していく考えです。そのために、アビガンの備蓄量を現在の3倍、200万人分まで拡大します。国内での増産に必要な原料の生産には各地の企業が協力を表明してくださっています。