【フィリピン】拳銃強盗、また邦人被害 短期間で5件、夜の外出危険に
フィリピンのマニラ首都圏マカティ市中心部で新たな拳銃強盗が発生し、邦人が被害に遭った。首都圏で同様の事件が起こるのは過去1カ月間で5件目。日本人を含む外国人が多く住む地区で立て続けに発生し、夜の外出は危険度が高まっている。治安の悪化やクリスマス期間で犯罪が増えている可能性があり、しばらくは防犯の意識を高めて行動する必要がありそうだ。 在フィリピン日本大使館によると、新たな事件は7日の午後8時45分ごろにチノロセス通りで発生した。総合病院マカティ・メディカル・センターから近い場所だった。 邦人2人が徒歩で通行していたところ、接近してきた3人組が邦人1人のショルダーバッグを引っぱった。足を引っかけて抵抗したものの転倒して頭部を地面にぶつけて倒れ込み、バッグを引きちぎられた。もう1人の邦人は拳銃のようなものを突きつけられたため、抵抗せずにバッグを犯人に渡した。 チノロセス通りの事件現場付近は、日本料理店などが集まる商業施設「マカティ・セントラル・スクエア(旧マカティ・シネマ・スクエア)」まで車で5分以内の距離にある。同商業施設の周囲の路上でも先日に同様の事件が発生していた。 マカティ・メディカル・センターは外国人の受診が多い。ジャパンデスクもあり日本語が通じるため日本人も通う。 邦人強盗事件は10月19日から立て続けに発生している。5件のうち在留邦人の生活圏であるマカティ市中心部が4件、パラニャーケ市で統合型リゾート(IR)施設「オカダ・マニラ」などカジノ施設が集まる地区が1件だった。 マカティ市ではまず、高級ブランドもそろう商業施設「グリーンベルト」と、マカティ・セントラル・スクエアの周囲で事件が発生した。今月に入り、歓楽街近くのジュピター通りでフィリピン投資委員会(BOI)の事務所が入る建物の付近でも邦人が被害に遭った。 在フィリピン日本大使館は、クリスマス期間に犯罪が増加する傾向があると指摘。在留邦人、旅行者、出張者に高い防犯意識を持つよう呼びかけている。特に旅行者や出張者は土地勘がなく、狙われやすい。 邦人強盗事件が発生した2市の間にあるパサイ市では、地元警察が8日午後0時30分ごろに路上強盗団の男1人を逮捕した。今回の事件との関連性は明らかになっていない。 立て続けに発生している事件は、外国人を狙って犯行に及んでいる可能性がある。日本人と同様にほかの外国人も被害に遭っている恐れがある。 フィリピンは銃社会で、許可を得れば一般人でも銃の所持・携行が認められている。未登録の銃器や密造銃も広く出回り、犯罪に悪用されている。マカティ市中心部は在留邦人の生活圏だが、徒歩での夜間外出はしばらく避けるなどの対策が求められる。 関連記事: 邦人強盗相次ぐ、拳銃で脅迫(11月7日付)