「若いうちは進んで苦労すべき」と思う新入社員は4割...それでも「やる気」の表れ? 上司・先輩の指導方法は
新入社員のうち「若いうちは進んで苦労すべきだ」と思う人が4割しかいないことが、一般社団法人・日本能率協会が2024年12月4日に発表した「2024年度 新入社員意識調査」でわかった。 【ひと目でわかる】若いうちは「進んで苦労すべき」41.8%【調査結果】 これはやる気のなさの表れなのか、それとも......。上司や先輩は新入社員にどう接したらよいのか、調査担当者に聞いた。 ■「苦労すべき」と「その必要なし」、チャレンジ意欲が二極化 日本能率協会は毎年新入社員の意識調査を行なっており、今回調査(2024年4月2日~5日)は同協会の新入社員向け公開教育セミナーに参加した427人(男性427人、女性243人)が対象。 今回初めて、キャリア形成や将来に関して、「若いうちは自ら進んで苦労すべきだと思うか」という質問項目を設けた。その結果、「進んで苦労すべきだ」が41.8%、「好んで苦労する必要はない」が36.8%と、チャレンジ意欲の二極化が見られた【図表1】。 理想的だと思う上司・先輩について聞くと、「仕事について丁寧な指導をする上司・先輩」(25.5%)がダントツに多く、ついで「仕事の結果に対するねぎらい・褒め言葉を忘れない上司・先輩」(10.9%)、「部下の意見・要望を傾聴する上司・先輩」(10.8%)と続く【図表2】。 4位は「言動が一致している上司・先輩」だが、男性が7.4%に対し、女性が16.1%と、2倍以上の開きがある。女性は「言動が一致している」ことを非常に重視する傾向があることがわかる。
半世紀前は「苦労すべきだ」が50ポイント以上上回った
こうした新入社員気質をどうみたらよいのか。J‐CASTニュースBiz編集部は、調査を行なった日本能率協会の担当者の話を聞いた。 ――今回、初めて「若いうちは進んで苦労すべきと思うか」という質問を行なった狙いはなんでしょうか。 担当者 じつは、公益財団法人・日本生産性本部が、1969年から2019年まで同様の新入社員意識調査をしていました。その調査は終了しましたが、その中に「若いうちは進んで苦労すべきと思うか」という質問が毎回あったのです。当協会としても貴重な設問と思い、今年度から取得を開始しました。 日本生産性本部の調査では、1969年頃は「苦労すべき」が「苦労する必要はない」を54.3ポイントも上回っていました。それがどんどん差が縮小し、最後の調査だった2019年では「苦労する必要はない」が過去最高(37.3%)となった一方、「苦労すべきだ」が過去最少(43.2%)となり、差が5.9ポイントにまで縮小しました。 当協会の調査もその流れを引き継ぐような結果で、「苦労すべき」と「苦労する必要はない」の差が5ポイントに接近しました。 ――半世紀の間に、ずいぶん新入社員意識が変わりましたね。私は、ちょうど半世紀前に新入社員だった70代ですが、「若い頃の苦労は買ってでもしろ!」「鉄は熱いうちに打て!」が当たり前。上司にも「獅子はわが子を千尋の谷に落とす」を期待したものです。そういう意識は、現在はあまりないのでしょうか。 担当者 2023年の国民生活に関する世論調査(内閣府)の18~29歳の働く目的は、「お金のために働く」が75.8%となっています。また、「どのような働き方が望ましいか」(18~29歳)では、1位「収入安定」(67.8%)、2位「自分にとって楽しい仕事」(62.1%)、3位が「私生活とのバランス」(57.7%)となっています。 いわゆる大志を抱くタイプの「高い収入が得られる」は37.2%にとどまっており、無理をせずに働きたいという意向が作用していると推察されます。