イチロー氏が17年夏の大阪大会準優勝の大冠高校を臨時指導「はじめましてで、ここまで厳しいことを言うのは初めて」
日米通算4367安打を記録したイチロー氏(51)=マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクター=が10日、大阪・大冠(おおかんむり)高で2日間の臨時指導を終えた。同氏が高校球児を指導するのは2020年の智弁和歌山に始まり、国学院久我山(東京)、千葉明徳、高松商(香川)、都立新宿(東京)、富士(静岡)、旭川東(北海道)、宮古(沖縄)に続き9校目。今年最初の指導となった。 【写真】指導を前に、お好み焼きを作るイチロー氏 大冠は公立高校で、春夏通じて甲子園出場はないが、17年には夏の大阪大会で決勝に進出。〝絶対王者〟の大阪桐蔭に食い下がりながらも敗れた。 1997年から同校ので指揮を執る東山宏司監督(62)から指導を熱望する手紙が届き、イチロー氏は「『強豪私立を倒して本気で甲子園を目指す』と言うが、それが聞こえのいい目標を持つことで満足してしまっていないか。彼らの覚悟と正しいアプローチができているのか、確かめてみたい」と訪問を決意した。 初日の部員との顔合わせでは「大阪の状況を見ると、大阪桐蔭と履正社の2強なんだろうと。その相手がどう思っているか考えてほしいんだよね。彼らはどう思っているか、考えたことある?僕は愛工大名電で野球をやっていて、愛知4強と言われて。この立場からするとベスト16のチーム、眼中にないです。意識もしていない。相手は相手と思っていない、そこに挑むんだよ。はじめましてで、ここまで厳しいことを言うのは初めてです。僕も本気で来たということを知っておいて」とあいさつした。 2日間の指導を受けた加藤日向主将(2年)は「イチローさんはオーラがすごかった。父と同じ年なのに、めっちゃ遠くに飛ばすし肩も強いし、感激しました」と目を丸くしながら、「走る、投げる、打つの全ての動きで股関節を使うことの大切さを学んだ。強豪私学からは、僕らは『眼中にない』と思われているんだということも知ることができた。悔しかったが、刺激的な2日間だった。来年の夏、成長した姿を見せることが恩返しになると思うので、本気で甲子園を目指して頑張りたいです」と誓った。