年末年始“一気見ドラマ”おすすめベスト10 「見逃してしまうのはもったいない」2024年放送のドラマ
昨年2度にわたって放送された男女逆転版『大奥』以降、「NHK総合のドラマが面白い」という声が増えつつある。2024年も好評の作品が多かった中、衝撃作であり、クオリティも高かったにもかかわらず、さほど話題にならなかったのが『燕は戻ってこない』。桐野夏生の小説をドラマ化した作品だが、テーマである「代理母」をめぐる描写がとにかく強烈だった。 派遣社員ゆえに苦しい生活が続くリキ(石橋静河)は同僚から卵子提供での金稼ぎを誘われ、生殖医療エージェントに向かうが、持ち掛けられたのは代理出産。そこから代理母を探す元バレエダンサー・草桶基(稲垣吾郎)と妻・悠子(内田有紀)との出会い、人工授精、妊娠・出産、そして衝撃の結末まで、常に倫理観を問われ、感情を揺さぶられるような展開が続いた。 リキ、基、悠子の3人に加えて、基の母・千味子(黒木瞳)、エージェントの青沼(朴ロ美)、女性風俗で働くセラピスト・ダイキ(森崎ウィン)、悠子の友人で春画作家の寺尾りりこ(中村優子)など、すべての登場人物が穏やかな物腰ながら理解しがたい価値観を持っていることも、当作の不思議な誘因力につながっている。 ■3位:『春になったら』(カンテレ・フジ)
ホームドラマの王道である「笑い泣き」がしたい人、または、家族で一気見できるドラマを探している人には当作をおすすめしたい。 3カ月後に結婚する娘・椎名瞳(奈緒)と3カ月後にこの世を去る父・椎名雅彦(木梨憲武)。母を亡くし、時に反発しながらも楽しく支え合ってきた父娘の「結婚までにやりたいことリスト」と「死ぬまでにやりたいことリスト」をめぐるエピソードの数々にクスッと笑い、涙を誘われる。 奈緒と木梨のかけ合いは息ピッタリで、楽しさ、温かさ、哀しさを感じさせられるシーンが満載。とりわけ木梨の演技は技術を超えた存在感があり、福田靖が手がける明るく切ない世界観にフィットし、専業俳優ではなく芸人を起用することのメリットを感じさせられた。 1月期のドラマは3月に終了するだけに、「3カ月後の春になったら娘と父は……」という時間の流れに合わせた物語は巧みだったが、この作品を冬に一気見してもクライマックスで泣けるのではないか。 ■2位:『ライオンの隠れ家』(TBS)