相続税対策として、孫に「毎年100万円ずつ」生前贈与しています。110万円までは「非課税」で贈与できると聞いたので、税金を取られることはないですよね?
2024年1月1日に相続税・贈与税の改正が施行されました。これを機に、子や孫への贈与を計画的に進めようと考えた人もいるでしょう。なかでも孫への生前贈与は、相続税対策の1つとして活用されています。 本記事では、生前贈与の基本ルールについておさらいし、孫へ贈与するときの注意点について解説します。 ▼子ども名義の口座に「月3万円」ずつ入金してるけど、将来口座を渡すときに「贈与税」はかかるの? 非課税にすることは可能?
孫への生前贈与のメリット
相続税対策として、子ではなく孫へ生前贈与を行う方法はこれまでもたびたび活用されてきました。贈与の中でも「暦年課税制度(暦年贈与)」であれば、1年間で110万円まで非課税での贈与が可能です。 大切な孫に財産を渡したいという気持ちで贈与を行う人も多いですが、生前贈与は相続とは異なり、孫が資金を必要とする時期に少額ずつお金を渡せることもメリットです。さらに、孫への贈与は子への贈与よりも、相続税のうえでメリットとなる場合があるのです。 2024年1月1日の税制改正により、相続人に暦年贈与した場合は、図表1のように相続財産の加算対象期間を、これまでの相続開始前3年以内から7年以内にする変更がありました。 図表1
国税庁 令和6年分の贈与から贈与税・相続税の計算方法が変わります! 例えば、Aさんが2024年から毎年100万円を生前贈与して、2031年に死亡した場合を考えてみます。Aさんが子に対して暦年課税による生前贈与をしていた場合、亡くなる前3年以内の贈与は全額持ち戻しとなるため、2028年から2031年までに贈与された300万円は相続財産に加算されます。 一方、亡くなる前4~7年の贈与に対しては100万円を引いた額が加算されるため、2024年から2028年に贈与された400万円については、100万円を差し引いた300万円が相続財産に加算されます。 同じ金額を孫に生前贈与していた場合は、孫への生前贈与は生前贈与加算の対象外のため、相続財産への持ち戻しが発生しません。 ただし、孫は本来の相続順序を1回分飛ばすため相続税の節税になりますが、その場合、2割加算が適用されます。これは順当に相続した人と比べて公平性を欠くことのないようにするためのもので、最終的な税額に2割加算が反映される仕組みです。