大阪の都心に絶滅危惧種を「新梅田シティ」にミズアオイ
大阪の都心に絶滅危惧種を「新梅田シティ」にミズアオイ THE PAGE大阪
大阪の都心で絶滅危惧種の植物を育てる異色のプロジェクトが産官学の連携でこのほど始まった。オフィス街に設置された棚田やため池で、女子社員らがミズアオイの株を植え込んだ。生物多様性の大切さを啓発する活動の一環で、支援した研究員は「ミズアオイは柔らかいので、バッタがかじるかもしれないが、豊かな生態系ができている証しなので、大目に見てください」と、ユーモアをまじえて呼びかけた。
棚田の上にそびえ立つ梅田スカイビル
ミズアオイが植えられたのは、大阪市北区「新梅田シティ」の公開空地に設置された緑地「新・里山」。2006年の設置以来、9年の歳月を経て里山らしい環境を醸成し、鳥や昆虫たちのすみかとなっている。水の張られた棚田から空を見上げると、世界中の観光客でにぎわう梅田スカイビルがそびえ立つ。 今年3月、市街地での生物多様性保全の取り組みを本格的に推進するため、スカイビル内に本社を置く積水ハウスと、大阪府、府立大学、府立環境農林水産総合研究所が「積水ハウス・おおさか生物多様性パートナー協定」を締結した。 この日は協定に基づき、府立環境農林水産総合研究所水生生物センターの協力を得て、積水ハウス社員らが棚田やビオトープ池に、ミズアオイの株を植え込んだ。
女子社員がハイヒールを脱ぎゴム長靴はく姿も
ミズアオイは府が絶滅危惧種に指定。水田や河川などに生息する1年生の抽水植物で、7月から9月にかけて、薄紫色の花を咲かせる。 かつては府内各地の湿地や水田、周辺水路に分布していたが、水田の減少や農薬散布などの複合的な要因で姿を消し、今では数か所だけで確認できる程度まで激減。今回は同研究所水生生物センターが淀川水系で発見し保護育成してきた株の一部を移植した。 男子社員が胴長を着用。女子社員有志がハイヒールをゴム長靴に履きかえて、ミズアオイの株を数株ずつ大きな植木鉢に植え替え、棚田と池に植木鉢ごと沈める作業を行った。「胴長は初めてだけど、便利なのでいろいろ使えそう」と着想豊かな意見や、「楽しい。土にさわるのは何年ぶりかしら」などという新体験感想など、社員からはにぎやかな反響が帰ってきた。