大阪の都心に絶滅危惧種を「新梅田シティ」にミズアオイ
新梅田シティが「緑の中継基地」に!?
植え付けが終わったあとは、生きものたちのミニ観察会。研究員が目の前の田んぼなどで捕まえたカエルやメダカなどを披露すると、歓声がわき立つ。 中には元気にジャンプするカエルを手づかみする勇気ある女性社員も。観察が終わると、生きものたちは元の場所に放たれた。超高層ビルが林立する都心の一等地で、カエルが跳びはね、夏にはカブトムシが雄々しく動き回るとは、にわかに信じがたい。まさに都心の里山か。 研究員のひとりは「ミズアオイは人間が食用にしたほど柔らかいので、バッタが飛んできてかじるかもしれないが、多様な生きものが共生する豊かな生態系が機能している証しなので、大目に見てください」と、ユーモアをまじえて呼びかけた。 ちょうど今の季節、子育てに精を出すツバメの巣は、土でできている。人間が耕した田んぼの適度に柔らかく粘りもある土を駆使して、巣作りを続けてきたという。ミズアオイも耕された水田を好んで生息してきた。ツバメと同様、ミズアオイも里山の生物多様性を象徴しているようだ。 梅田にある「新・里山」は、移動する鳥や昆虫にとって、北を流れる淀川のヨシ原などと、南に位置する大阪城公園や靱公園などの緑地をネットワークで結ぶ「緑の中継基地」の役割を担っているという。夕暮れが近づくと、田んぼのあたりから、カエルの鳴き声が聞こえてきた。 「新・里山」は公開空地なので、だれでも見学できる。詳しくは積水ハウスの公式サイトで。 (文責・岡村雅之/関西ライター名鑑)