「悪夢の文在寅政権」の再来も…悩める国・韓国で「反日モンスター」政権が生まれる日
取材・文/近藤大介(本誌特別編集委員) こんどう・だいすけ/'65年生まれ。埼玉県出身。東京大学卒業後、講談社に入社し、中国、朝鮮半島を中心とする東アジア取材をライフワークとする。講談社(北京)文化有限公司副社長、『週刊現代』編集次長などを経て現職。近著に『進撃の「ガチ中華」』など 【画像】尹錫悦大統領夫人に浮上した「株価操作」「世論操作」疑惑のヤバすぎる中身 「大統領のクーデター」未遂は、日本に「悪夢」をもたらすかもしれない。新大統領がトランプ大統領や金正恩総書記と急接近、そして……。東アジア情勢に精通する本誌特別編集委員の緊急レポート。 前編記事『「反日モンスター」政権誕生へ…韓国・尹大統領を追い詰めた「美しすぎる妻」の「悪行」の数々』より続く。
近づく「見苦しい死期」
だが、事態は予断を許さない。10日には、尹大統領と内乱を共謀した疑いで最側近の金龍顕前国防相が逮捕され、拘置所で自殺を図った。 11日には新たな弾劾訴追案が提出され、14日に可決された。これから180日以内に、憲法裁判所が罷免の是非を判断する。 今後は大統領の椅子にしがみつくほど、内政も外交も停滞し、「見苦しい死期」を迎えるだけだ。そして「仇敵」が次期大統領に就く可能性が高まっていく―。 隣国の非常事態は、日本も「対岸の火事」では済まされない。トランプ氏が復活することを「もしトラ」と呼んだが、今度は「もし明(李在明)」に備えなければならないからだ。 '22年5月に、韓国の大統領が文在寅から尹錫悦に代わって、日韓関係は「最悪の時」から「最良の時」へと激変した。尹大統領は岸田文雄前首相との間で12回もの日韓首脳会談を開催。慰安婦、徴用工、レーダー照射、旭日旗掲揚、GSMIA(軍事情報包括保護協定)、輸出規制、福島原発のALPS処理水、佐渡金山のユネスコ世界文化遺産登録という「日韓8大懸案事項」を、ことごとく解決に導いたのだ。 今年1~10月の韓国からの訪日客数は720万人を超え、日本人も「韓ドラ」を見て「K―PP」を聴き、キムチや韓国ホットドッグなどを食べることが日常になった。 だが日韓国交正常化60周年を迎える'25年、両国関係は「悪夢の文在寅時代」よりさらに悪化する可能性がある。何せ李在明代表は、「反日モンスター」とでも呼ぶべき政治家だからだ。 '64年に貧農の5人目の子供として生まれた李在明は、小卒で工場労働者となり、激務で左手を悪くし、身体障碍者となった。中学も高校も行かず、検定試験で中央大学校に合格。司法試験にも合格し、右派(保守派)政権に対抗する人権派弁護士となった。 その後、市民運動に関わったことから政界入りし、ソウル郊外の城南市長、京畿道知事を経て、左派(進歩派)「共に民主党」代表になった。'22年3月の大統領選挙では、右派の尹候補との一騎打ちの末に僅差で敗れた。 「反日闘士」としても知られ、祖国が南北に分断されているのは日本の植民地統治のせいと主張。('65年の)日韓基本条約は違法なクーデターで政権を簒奪した朴正煕大統領が日本から「カネで買った」ものなので意味をなさないという考えだ。 京畿道知事時代には、「親日残滓清算プロジェクト」なるものまで立ち上げた。首都ソウルを取り囲む京畿道から、「親日的なもの」を徹底的に除去していくという運動だ。