【香水】SPURフレグランスアワード2024下半期
自分の個性をまるごと託したくなるような、巧みな調香のフレグランスが目白押しだった2024年下半期。香りのプロたちの鼻と心をがっちりと掴み、新たな名香となる予感に満ちたベスト・フレグランスを、カテゴリー別に一挙に公開! 【写真】2024下半期のベスト香水をもっと見る
「エレガントで上質な香り」が底力を発揮!【ベスト・オブ・ベスト】
ひとことで「何の香り」といえないようなブレンドで、すごく新しいのに決して奇をてらわない、美しく上質な香りに。「今」を反映して頂点に立った3つの香りは、奇しくもそんなフレグランスばかり。ジェンダーなどボーダーを超えた香りがランクインしているのも、もはやスタンダードに。
◆1位 HERMÈS 繊細なジンジャーリリーと驚きをもたらすミラクルベリーが、オークウッドやパチュリと溶け合うエルメス初のシプレのノート。タイムレスな香りが素肌の上で重なり合い、しなやかなエルメスのなめし革「バレニア」のように寄り添って、ときに情熱を垣間見せる。 「エレガントでいてインティメイト。肌になじんでもなお品格を残す、まるで使い込んだエルメスの革のブレスレットのような佇まい。そんな風に思っていたら、その通りのコンセプトで驚きました。吹きつけた瞬間から心地よく肌になじむ、甘美な温もりとエッジィな側面がせめぎあうシプレの調べは、エルメスならでは」(小川さん) 「女性のエレガンスをファッショナプルに表現するシプレを骨格とするバレニアは、女性のみならず、今の時代の柔らかな感性を持つ男性たちにも支持される香りです。レッドベリーの甘やかなポディと、しっとりと洗練されたレザーノートの余韻が肌にもよくなじみ、エルメスらしいニュアンスに満ちた品格のある香り」(小泉さん) 「エルメス独特の、やわらかくも深みある香り立ち。シプレというとクラシックな印象がありましたが、それをいい意味で裏切ってくれるモダンな仕上がり。まさにバレニアのジュエリーのように、現代を力強く生きる女性を美しく勇気づけてくれる。エレガントで力強く、ジェンダレスな表情も魅力的です」(編集M) バレニア オードパルファム 100ml ¥24,860/エルメスジャポン エルメスジャポン 03-3569-3300 ◆2位 Maison Francis Kurkdjian 明るくセンシュアルなレディスと、恍惚とさせるエレガントなメンズ。ブランド誕生時、同じテーマで生まれた象徴的なふたつの香りをひとつに。明るいネロリやラベンダーのノートから、アンバリーな余韻へ。懐かしくも新しくインティメイトな香りは、きっと自分の一部に。 「もはやメンズ、レディスのカテゴライズが不要になりつつある現代、ブランドの代表作を15年目にしてジェンダーレスに統合した姿勢に拍手。肌と一体化するやわらかさと透明感がありながら、“石けんのような”という凡庸さには収まらない調香の妙は、まさにクルジャン。『A Part Of Meを略したネーミングとその響き、センシュアルなのにミステリアスな香り、それらすべてが僕にとって特別』と本人が語るだけのことはある逸品」(木津さん) 「2009年発表のAPOMオムとファムを1本に融合させ、内省的な探求を体現する香りにモデファイした、進歩的で大胆な試みが新鮮。ラベンダーの香りでマニッシュに始まったかと思えば、オレンジブロッサムとイランイランが光に満ちるフェミニンなフローラルをのぞかせる。そして、日差しの下でまどろむような穏やかさへとムスクが誘います。日常にさりげない贅沢さとセンシュアルさを漂わせる、大人のための香り」(MAHOさん) 「どこもとがったところがなく心地よくなじんでくれるのに、唯一無二。自分のマインドのせいなのか、アロマティックさ、ほのかな甘さ、官能性、あるいはフローラルなニュアンスと、その日によって感じ方がちょっと変わるのも不思議。『香りはその人が残していくその人自身の一部』とクルジャンは語っているけれど、どこかにこの香りを残していったとき、それで誰かが私を感じてくれたなら本望です!」(巽さん) メゾン フランシス クルジャン APOM オードパルファム 70ml ¥39,600/ブルーベル・ジャパン ブルーベル・ジャパン 0120-005-130 ◆3位 CHANEL まばゆい光を放つフレッシュな香りの中心となるのは、豊かなジャスミン、フルーティなイランイラン、みずみずしいオレンジ ブロッサムと、グリーンな一面を際立たせたなめらかなチュベローズ。さらにベリーがきらめきを添え、新たなフェミニニティを引き出す。 「ガブリエル シャネルといえば4つの白い花。今回はベリーの酸味を効かせたところが勝因で、静謐なトーンにキラキラした茶目っ気が加わった印象。動と静で表現するなら、より前向きな動の躍動感が強くなったイメージなので、少し疲れたときの元気の底上げにも活用しています」(編集G) 「フレッシュなスパークリングノートは、つけるたびに世界がきらめく。まとう人の日々を明るく照らしてくれるフレグランスだと思っています。シルヴィ ルガストゥロワが手掛けたボトルとの調和も美しく、長く愛していきたい名品です」(編集H) 「アイコニックな“ガブリエル シャネル”のエレガントさを保ちながらも、こんなにもフレッシュでモダンに生まれ変わるんだ、という新鮮な驚きをくれた香り。万人に受け、幅広いシーンで使用できる愛されフレグランスだと思います。淡いピンクをまとった、ジュエリーのように繊細で美しいボトルにも高揚します」(編集A) ガブリエル シャネル ロー オードゥ トワレット 100ml ¥23,100/シャネル シャネル カスタマーケア 0120-525-519 photography: Shinsuke Sato text: Kaori Tatsumi edit: Makoto Tozuka