「批判ばかりする人」の頭の中では何が起きているのか?
「これがあると、人が人生で選択する2つの道をしっかり観察できる。つまり『学ぶ人の道』と『批判する人の道』だ。その名が示すように、この地図は選択する能力を身につけるためのものだ。 『選択の地図』の左側を見ると、『スタート』と書かれた丸にひとりの人物が立っている。そこは、道が2つに分かれる分岐点だ。 この人物はきみであり、私であり、ほかのだれでも当てはまる。 われわれは人生のどんな瞬間にも、地図に描かれた2つの道、『学ぶ人の道』と『批判する人の道』のあいだで選択をせまられている。 では、この地図にある吹き出しを見てみよう。 注目してほしいのは、この人物がどんな質問をしたか、どの道を進んだか、そして選んだ道がどんな結果につながったかだ」 ● 「選択の地図」は自分を見つめる セルフ・コーチングツール それからジョゼフは、地図の左側のスタート地点の近くにある2つの小さな矢印に目を向けさせた。 「学ぶ人の道」の上の矢印には「選択」とあり、「批判する人の道」の下の矢印には「反応」と書かれている。 「学ぶ人の道」を見ると、そちらを選んだ人物が楽しそうに駆けている。「選択」と結び付く道へ、思わず進みたくなってくる。 それから、「反応」と結び付いた「批判する人の道」に目を移した。その道は「批判する人」と書かれた丸へとつながっており、その道を行く人物は希望を失っているように歩いている。 その後、その人物は「批判する人の落とし穴」に落ち、泥まみれになっている。 ジョゼフが私に抱いた印象はこの姿だったのでは?肩が締めつけられるようだ。 もし、彼の印象が正しかったら?私は慎重に言葉を切り出した。
「あなたは私のことを敗者や批判する人と考えているのですか?」 「きみが敗者だと思われているなら、このオフィスに来ることはなかっただろうね。どんな人でも『批判する人』になるときがある、私を含めてね。人間として当然のことだ。『選択の地図』は、より意識して自分自身や他者のことを観察するためのものだ。これがあれば、ある瞬間、どちらの道を進んでいるかがわかるんだ。人にレッテルを貼ったり、やりこめるためのものじゃないんだよ。 『選択の地図』とは、生涯を通じてより建設的だと思われる道を示し、より良い結果を生みだすためのセルフ・コーチングツールだと考えてほしい。 人生のどんな瞬間にも、われわれは『学ぶ人の道』と『批判する人の道』のあいだで選択をせまられる。 気づいているにしろいないにしろ、どんな瞬間にもわれわれは選択をしている。年月がたてば、われわれの選択の多くがルーティンや習慣となってくる。そのうちの一部は、選択していると気づかなくなるほど、日常の生活になじむものとなる。 ● 思考を変えれば結果が変わる そのために必要な自己観察能力 たとえば、きみは会社に1番早く着けるという理由で、いつも同じルートを取っていたとする。その後、交通事情が変わり、それまでのルートでは倍の時間がかかるようになった。だがきみは新しいルートを見つけようとせず、元のルートを取りつづけている。 ある日だれかがもっといいルートを教えてくれても、道が混んでいるせいにして、元のルートを守ろうとするだろう。 どうすれば『学ぶ人の道』を行くのと『批判する人の道』を行くのをうまく切り替えられるのだろうか? カギとなるのはわれわれの考え方なんだ。 『学ぶ人の考え方』を選べば、新しい可能性が見つかる。 『批判する人の考え方』にはまると、泥沼から抜け出せなくなる。 あるいは、生産性が低く快適でもない元のルートを取りつづけることになる。 たいてい、われわれは『学ぶ人の考え方』と『批判する人の考え方』とを行ったり来たりしている。 どちらを選ぶかは自分で決められるんだということに気づかないままでね。