米銀監督機関にまん延するハラスメント、「有害」職場報道で調査報告
(ブルームバーグ): 米連邦預金保険公社(FDIC)のスタッフは何年も前から、有害な職場環境に苦しんできた。多くの職員はセクシャルハラスメント(性的嫌がらせ)や差別から守られていないことがリポートで明るみに出た。
7日に発表された報告書には、500人余りの職員が「セクシャルハラスメントや差別、その他不適切な行為」を赤裸々に述べている。法律事務所クリアリー・ゴットリーブ・スティーン&ハミルトンが12月に依頼を受けて実施した調査は、米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)の記事がきっかけだった。この記事はFDICの「性的な特色が強く、ボーイズクラブ的な環境」を理由に、女性審査官が退職したと報じていた。
報告書から浮かび上がるのは、おぞましい職場環境だ。不適切な行為に関する苦情はきちんと対応されないことが多く、ハラスメントが容認されている。WSJの報道後も数百人もの従業員がホットラインを通じて自分に起きた出来事を報告したと、200ページ余りに及ぶ報告書は指摘している。中にはつい数週間前に起きた行為についての報告も複数あるという。
調査で明るみに出たのはセクシャルハラスメント以外にも、同性愛へのヘイトや差別に関する生々しい詳細だ。ある上司は妻との間でなかなか子どもを授からないことについて、自分が「上司だから」といって女性部下に代理母になるよう要求することは「技術的に」できないことは分かっていると、「冗談」を述べたという。また文化や民族的に少数派とされる従業員の中には、単にノルマを満たすために雇われたと同僚に言われた経験がある人が複数いた。
風俗店やマッサージパーラー、ストリップクラブに頻繁に出入りし、時には部下に同行するよう圧力をかける上司についても複数の報告がある。出張先では「女たらし」の悪名が高い管理職もおり、その悪評は口コミで広がり、女性たちへの警告になっているという。
FDIC幹部の中にはこうした問題を是正する行動計画に参加しながらも、自分がそうした行動に関与しているケースも複数あるという。調査官に匿名で告発したある従業員は、この状況を「ニワトリ小屋を守る狐」に例えた。