「数千年に一度」海底隆起の能登漁港、復旧は東日本以上に困難 岐路に立つ漁業者ら
ハードとソフト両面での支援が進むが、行政側の進める復旧スケジュールと現状に乖離(かいり)を感じる漁業関係者も少なくない。ある関係者は「漁に必要な氷や給油の設備など、まだ地震前には程遠い」としている。(清水更沙)
■未来見据えた復興を 金沢大の青木賢人准教授
港の被災は魚介類の取扱量に直結しており、石川県内の水産消費、そして観光に大きなダメージを与えている。漁業を営む人が多い地域では、再開しないことには人が戻らず、地域全体の復興が遅れることになる。また輪島港は日本海を航行する船舶が何かあれば避難する港でもあり、こうした面でも機能の回復が喫緊の課題となる。
復興では輪島の中心市街地と一体的な再開発が進んでいく想定だが、しばらくは仮復旧の段階で漁が続くことになる。漁業従事者のことを考えると、一刻も早く本復旧を進めなければならない。
安定して漁ができるインフラ整備に加え、未来を見据えた復興支援も重要となる。東日本大震災では、復興にあたり港内の施設の高度化が重要視された。能登の港でもこうした復興例を踏まえた整備が望ましく、その地の漁業や文化について知れる情報発信のような場や、新鮮な魚を食べられる場所の設置が考えられる。原状回復だけでなく、能登のブランド力を向上させる拠点施設になるよう再整備することが大切だ。