「地震の被害」を最小限にするためには? 東京大学名誉教授が言及「現在の建築基準法に適用している家は、すぐには倒れません」
手島千尋アナウンサーがパーソナリティを務めるTOKYO FMのラジオ番組「防災 FRONT LINE」(毎週土曜 8:25~8:30)。11月2日(土)の放送では、政府の地震調査委員会委員長で東京大学名誉教授の平田直(ひらた・なおし)さんに、「なぜ、日本で地震が多いのか」について伺いました。
私たちは、体に揺れを感じたときに“地震が起きた”と思いますが、地震の多い日本では、体に感じない地震も含めて毎日地震は起きています。 平田さんは、「地面は常に振動しています。例えば“地下で岩石がずれるように破壊される”という現象、つまり、『地震』は、実は非常に大きなエネルギーを放出するので、道路を車が通ったり、電車が走ったりするのに比べて、遠くまで揺れが伝わることがあります。また、海の水が海岸に押し寄せてきて波が打ち寄せることでも大地は振動していますので、機械で測ると、地面は常に地面を少しずつ揺れています。そのなかでも5分に1回ぐらいは小さな地震が起きており、大地はブルブルと揺れているんです」と解説します。 地震が多い理由は、日本がユーラシアプレート、フィリピン海プレート、北アメリカププレート、太平洋プレートの4つのプレート(岩盤)の境界部に位置しているからです。陸側のプレートは海のプレートの沈み込みによって引きずりこまれているため、岩盤の境目では地震が起きやすいと言われています。 また平田さんは、地震で被災しないためには“揺れ”から起こる被害を最小限にすることだと話します。 「地震というのは“揺れる”ことによって被害が出ます。ですから、基本的に強い揺れでも壊れない家や橋、道路、水道にすることが重要です。建築基準法では『一定の強さの揺れがあっても(建物が)壊れないようにしなければいけない』ということが法律で定められており、現在は2000年に作られた基準を満たしていなければ、家として売買することはできません。 さらに、『震度6~7レベルの地震が起きても命が失われないように作らなければいけない』ということになっていますから、現在の建築基準法に適用している家は、すぐには倒れません。ただし、それは“命を失わないようにする”ということが重要なので、“住み続けられる”ということはまた別です」と話していました。 8月30日(金)に出版した平田さんの著書「地震を知って震災に備える」(亜紀書房)では、地震がどのようなメカニズムで起きるのか、地震にあったらどのように行動すべきか、普段からどのように備えれば良いか、などが書かれています。正しく地震を怖がるために、地震の知識を身につけておきましょう。 (TOKYO FM「防災 FRONT LINE」2024年11月2日(土)放送より)