スーパーからコメが消えても心配無用…最大2カ月しかもたないコメを「長期保存できる備蓄米」に変える方法
お米を長期保存するにはどうしたらいいか。備え・防災アドバイザーの高荷智也さんは「お米は生鮮食品で賞味期限が短い。無酸素保存を行えば、常温でも1年間は鮮度を保つことができる。私が試したところでは、10年保存したお米も問題なく食べることができた」という――。 【画像】防災アドバイザーが自宅で実践している米の備蓄方法 ※本稿は、高荷智也『今日から始める本気の食料備蓄 家族と自分が生き延びるための防災備蓄メソッド』(徳間書店)の一部を再編集したものです。 ■「米不足」への備えがあると安心 ここから、「日常備蓄」による個別具体的な備蓄のお話をしてまいります。 まずは「お米」ですが、毎日食べる主食類は「ローリングストック」に向いた食品です。全て食べきってから補充するのではなく、賞味期限内に食べきれる量の在庫を常に持つようにすれば、それだけで相当量の備蓄が完了します。長期備蓄には、ぜひ主食類を追加してください。 例えば毎月5kgの米袋を2袋、合計10kgのお米を消費するご家庭があったとします。米びつが空になる直前にお米を購入している場合、ある日突然お店からお米が消えてしまうと大変困ってしまいます。日頃から未開封の米袋をいくつか確保し、米びつが空になったタイミングで一番古いお米を開封して補充、同時に1袋を購入すれば、突然お米が買えなくなっても、一定量は確保された状態となります。 平時に食べるお米の1カ月分の在庫を持つなら10kg、3カ月分なら30kg。半年分のお米をローリングストックする場合は、常に60kg――5kgの米袋にして12袋分のお米を手元に確保することができます。突発的な食料危機に対し、とても心強い量であるといえるでしょう。
■夏場は1カ月以内に、冬場でも2カ月以内 一方、お米の備蓄にはひとつ問題があります。 お米は生鮮食品であり、「美味しく食べられる期間」が主食類の中では短いという点です。そのため、数カ月分以上のお米をローリングストックしたい場合は、お米の賞味期限を伸ばすための工夫が必要になります。 そのままで数年間の保存ができるパスタや乾麺と異なり、生鮮食品であるお米は、そのまま保管をすると、すぐに食味が落ちてしまいます。玄米も白米も同じことがいえます。 お米は、夏場は1カ月以内に、冬場でも2カ月以内に食べきることが望ましいとされていますので、1年を通じて「手元に確保」できるお米のローリングストック量は、1~2カ月分が最大ということになってしまいます。 長期備蓄にはもう少しの量が欲しいところですが、なぜお米はすぐに味が落ちてしまうのでしょうか。お米を劣化させる主要な要因は「化学反応」「微生物」「環境」の3つです。 まずは化学反応。玄米は呼吸により、白米は酸化により、食味が低下していきます。周辺に酸素がある限りこの反応が生じますが、特に温度の高い夏場は顕著になります。 次に生物の影響、お米の天敵といえば害虫ですが、代表的な虫には「ノシメマダラメイガ」と「コクゾウムシ」がいます。最初から米袋の中に潜んでおり、気温15~20度で活動を始め、20~25度以上になると活発化します。春になるといきなりお米が襲撃されるのです。さらに、湿気の多い場所で保管をすると、カビにも襲われるため、湿度管理も重要になります。 そして環境の影響、カビを防ごうと乾燥させると食味が落ちたり、においの強いものと一緒に保管するとにおいうつりが生じたりします。お米はデリケートな食品なのです。 ■理想は低温保管だがハードルは高い どうすればお米を長期間保存することができるでしょうか、最も良い方法は低温保管です。農家または国家備蓄されるお米は、温度15度以下、湿度60~65%を目安に、安定した環境で保管されます。この環境であれば、呼吸・酸化・害虫・カビ・乾燥・においうつりの全てを防止し、お米の美味しさを保つことができるのです。 家庭の場合は、お米をプラスチック容器やペットボトルに入れて、冷蔵庫保管をすると品質を保つことができます。食べる直前のお米、米びつなどを冷蔵庫に入れることで、お米の美味しさを維持できます。本格的に実施するのであれば、お米専用の冷蔵庫を導入する方法もありますが、導入費用・設置場所・電気代を考えると現実的には難しいでしょう。 手軽な方法は「虫よけ剤」の活用ですが、害虫以外の要素には無力であるため、長期保存には向きません。その他、真空パック機を使うことで、外部環境からお米を守れますが、袋の中に残っている酸素で呼吸・酸化・害虫の活動が進んでしまうため、やはり完全ではありません。