トヨタ カローラ・レビン(昭和54/1979年3月発売・TE71型)【昭和の名車・完全版ダイジェスト103】
ステアリング形式は、従来型でも使用されていたボールナット方式がそのまま継承されている。ただそのギアレシオは16.1とクイックな設定で、これがレビン/トレノの俊敏な動きに大きく貢献した。ブレーキはもちろん4輪ディスク。当時のスポーツモデルとしては、必要にして十分なメカニズムが導入されていたことになる。 TE71型レビン/トレノの最大の魅力は何といっても全体的なバランスの高さにあった。搭載された2T-GEU型エンジンは、DOHCエンジンらしい爽快な吹け上がりが信条。高回転域でのトルクフルでスムーズなフィーリングには、多くのスポーツカーマニアが魅了された。 新型のボディを得たことで、室内の静粛性も飛躍的に高まった。これはともすればスポーツフィーリングをスポイルする結果になるのではないかと心配されたが、実際には不快に感じるノイズのみが巧みに遮断されているという印象が強かった。官能的なDOHCエンジンのサウンドは、その魅力を損なうことなく伝えられていた。 フルモデルチェンジによって大きく進化を果たした部分と言えば、それはやはり軽量化と、室内の居住空間の拡大だろう。最も車重の変化が激しかったのは、カローラ/スプリンターの主力モデルとなる1500cc車だったが、レビン/トレノの場合も、装備によって若干の差はあるものの、最大で25kgほどの軽量化が実現されている。 スポーティなイメージを与えられたこのレビン/トレノは、モータースポーツマニアにも大いに好感を持って受け入れられた。レビンは発売当時134万3000円に設定された価格も実に魅力的で、何よりそのバランス感覚に優れた走りに多くのマニアは魅力を覚えた。 この時代、実際にモータースポーツシーンには数多くのTE71レビン/トレノが導入され、レースやラリーで活躍した。それが、さらにこのクルマの人気を高める原動力となったのだ。
VARIATION <スプリンタートレノ(TE71型)>
同時に発売されたスプリンター系はセダンを除いて斜めにスラントしたフロントマスクを持っていたのが特徴となる。2T-GEU搭載車はスポーティバージョンの代名詞であるトレノを筆頭に、セダン/リフトバック/ハードトップの各GT車となっていた。どれも当時のスポーティカーファンのハートを掴んだ。