江本孟紀氏「やっと来られた」涙のセンバツ出場辞退から11年…阪神移籍で因縁の甲子園が本拠地に 巨人戦ではベンチにいる憧れの長嶋氏を見ながら投げた!?
絶対に打たせない…王氏に打率1割3分4厘
江本氏は王氏を得意とし、通算対戦成績は67打数9安打、打率1割3分4厘、ホームラン3本とほぼ抑え込んでいた。 江本: オープン戦で、実は、王さんに満塁ホームランを打たれてるんですよ。そのときに気がついたんです。この人は絶対勝負したらダメだと。どんなことがあっても打たさんと思ったんですよ。だから、王さんがターゲットになったんです。 徳光: はぁ。その後、王さんには本当に打たれてないんですよね。王さんとの対戦成績は自分でどのくらいだと思いますか。 江本: よく分かんないですよね。あんまり…。 徳光: 打率1割3分4厘ですよ。 江本: えっ、すごいね。 徳光: 「世界の王」ですよ。868本も打ってる人が、江本さんからは3本しか打ててないんです。 江本: 真ん中に投げて打たれなかったんです。 徳光: どういうことですか。 江本: ふてくされたように真ん中にシュッと投げるんですよ。そうすると、王さんは意外と「ええっ」ってなって、バランスを狂わせるんです。 徳光: あまりにも良い球が来るんで、「あれっ」と思っちゃうんですかね。それで、ちょっと遅れる、0コンマ何秒か。 江本: そうなんですよ。力がクッと入って、タイミングが遅れるんですよね。 1980年4月19日の巨人・阪神戦では、2対2で迎えた延長10回裏ツーアウト二塁三塁の場面で、江本氏は3番の中畑清氏を敬遠気味に歩かせ4番の王氏と勝負した。 江本: これ、忘れもしないですけどね、満塁になって、本当にこれが勝負だっていうカーブをインローに投げたら、ボールでしたけど、王さんが振ってくれたんですよ。そのときはね、マウンドでへたりましたね。
小林繁氏がスパイクを磨いて殴り込み!?
徳光: 当時の阪神のチームメイトでは、小林繁投手が人気がありましたよね。 江本: そうですね。華やかだし、色んな噂もあったりなんかして、相手のベンチがやじるわけですよ。あいつもカリカリしてノックアウトくらってね。 夜、宿舎に帰ったら、スパイクをやすりで磨いてるんですよ。「お前、どうした」って聞いたら、「いや、あいつらは許せない。明日、僕は殴り込みに行く。試合が始まる前に行きますから」って言って。「あ、そう。スパイクとがってきたな。じゃあ、明日行け行け」って言って。あおるのもどうかだけど、それは結構面白い(笑)。 次の日、グラウンドに行って、向こうのバスが来たんですよ。そしたら、あいつはそのスパイクを持って、相手のやじった選手に向かって、ダーッと走っていったんですよ。向こうは逃げ回ってるんです。「こいつ、本当にやりそうだな」と思って、「やめとけ、やめとけ」って止めましたけどね。 徳光: そうですか。小林さんにはそういう瞬間湯沸かし器的な一面があったんですか。 江本: 闘争本能がものすごかった。
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