97歳、松崎淳子さんの土佐料理レシピ「茶殻も捨てずに食べ尽くす。昭和・平成・令和の食卓を見て気づいたこと」
私は毎朝、土佐茶の新茶を多めに淹れて3煎ほど楽しんだら、茶殻の水気をよく絞って保存容器に溜めておくんですよ。油で炒めて砂糖、醤油、みりん、粉節(削り粉)で味付けすれば、ご飯に合う常備菜のできあがりです。 食べられるものは捨てずに食べ尽くす。そんな知恵や習慣も若い人たちに伝えておきたいと、「覚え書ノート」にせっせと書き残しています。 早いもので定年退職してから30年以上が経ちました。この歳になっても日々の料理や寿司作りを楽しめるのは、つくづく幸せなことだと思います。新しいレシピや調味料の分量は住所録の余白に、あいうえお順にメモして記憶力の減退を補って。この方法は便利だから、若きおじいさん、おばあさん、ぜひお試しください。(笑) 大正15年に生まれ、昭和と平成の食卓を見てきました。そんな私が令和の時代を迎えて思うのは、どれだけ社会や環境が変わっても食べることの大切さは変わらないということ。 貧富の差が大きくなり、老いも若きもストレスを抱えている。だからこそ、その土地で採れた旬の食材を、先人たちが伝えてくれた調理法で食べてみてほしいと思います。郷土料理がきっと体を健やかに、心を温かくしてくれるはずです。
◆松崎さんが伝えたい!土佐料理のレシピ 深い旨みとやさしい甘み【銀不老(ぎんぶろう)の煮豆】●材料(4~6人分) ・銀不老(乾)…150g ・水…600mL ・A ・砂糖…50~70g ・塩…3g ●作り方 (1) 銀不老は一晩水に浸して吸水させる。 (2) (1)を水ごと火にかけてやわらかくなるまで煮たら、浸るくらいの煮汁を残してAを入れる。 (3) 弱火で少し煮たら火を止め、そのまま置いて味を染み込ませる。 ●memo 銀不老は、「不老長寿の豆」として古くから長岡郡大豊町で栽培されるでんぷん質の黒豆。皮がやわらかく、煮つけると味が染み込みやすい。ハレの日には銀不老入りの五目寿司がふるまわれる
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